2018.03.12

IoTを構成する基本の技術要素(第5回/全10回)

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1
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IoT関連

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IoT技術を理解する必要性について

IoTが注目されるにつれて、IoT対応の製品をたくさん見かけるようになってきました。市場には、次から次へと新製品が投入され、従来では高価だった製品も容易に手に入るようになり、また選択の幅も広くなってきています。

製品のサービスレベルが向上してきたことで、高度な専門知識がなくてもIoTシステムが構築できるようになりました。従来であればITベンダーが行っていたシステム構築を、ユーザー企業でも比較的容易に行えるようになっています。

例えば、生産現場の状況をリアルタイムで見たいという課題に対して、生産設備に取り付けたセンサーのデータをエッジコンピューターで収集し、そのデータをネットワークを介してクラウドで管理する方法をとります。あつめたデータを解析するシステムが、既存の製品やサービスを組み合わせることで実現できます。大企業では以前からやっていたことかもしれませんが、IoTを構成する製品が比較的手軽に入手できるようになり、大企業でなくても実現しやすい環境になっています。

実現しやすいとはいっても、実際にIoTを導入する場合には、ある程度、技術の理解が必要です。ひとつひとつ細かい部分は、その道の専門家やベンダーに任せてよいと思いますが、どのような技術で構成されるているのか、またその技術にはどのような特長があるのかといったことは、ユーザー企業として押さえておくことが、IoTの導入を成功に導くひとつの鍵と考えます。

IoTにはどのような技術があるのか

さまざまな製品や技術があるなかで「いったい何が違うのかがよくわからない」という話をよく聞きます。そこで、今回はIoTを構成する技術要素を整理してご紹介します。

まずは、IoTシステムのイメージの紹介です。IoTで最初に登場するのは、現場の「もの」から情報(データ)を「取り出す」ためのセンサー、バーコードなどの自動認識装置や各種入力端末です。次に、取り出したデータを各現場で「あつめる」エッジコンピューターです。そしてデータを「つなげる」ネットワーク機器があります。ネットワークの向こう側には、エッジコンピューターからあがってきたデータを「あつめる」クラウドコンピューターがあります。最後に、集まったデータを「活用する」ためのさまざまなソフトウエアなどがある、といった感じです。

IoT製品の技術要素を簡単に整理すると、次のように分類できます。

・ものから情報(データ)を「取り出す」技術

・ものをネットワークに「つなげる」技術

・データを「あつめる」技術

・集まったデータを「活用する」技術

 

さらに、各分類の具体的な技術要素とそれぞれの機能や特長を、下表にまとめました。ここでは代表的なものを挙げていますが、実際には多くの要素があり、また日々変化しています。

分類 技術要素 機能・特徴
取り出す センサー 現実世界のさまざまな事象や状態を、コンピューターが扱える「データ」に変換するデバイス。さまざまな検出項目に対応したセンサーがあるので、目的・条件を明らかにした上で、適切なデバイスを選定する。
自動認識 人を介さず、機器により自動的に媒体のデータを取り込み、認識するシステム。RFID、バーコード、2次元コードなどがある。
IoTデバイス センサーや自動認識で取り込まれたデータを、IoTにつなげるデバイス。プロトタイピング用途としてArduinoRaspberry Piが使われる。
つなげる ネットワーク IoTデバイスやコンピューターと他のコンピューターを接続する仕組み。近距離/構内ネットワーク(PAN/LAN)、広域ネットワーク(WAN)に分類される。近年、SIGFOXLoRaWANといった低電力広域ネットワーク(LPWA)が注目されている。
通信プロトコル ネットワーク上でデータを通信するための手順や規約のこと。IoTシステムではデータ量が少ないため、MQTTCoAPといった、簡易・軽量なプロトコルが利用されている。
あつめる エッジ IoTデバイスに近いコンピューターでデータ処理を行う仕組み。処理遅延を極小化し、リアルタイム性の維持を可能にする。ゲートウェイ装置として提供されている。
IoTサーバー IoTデバイスから通知されたデータの管理、分析、表示等の機能を持つコンピューター。社内単独のシステムや小規模の場合は、サーバーを社内に設置した、オンプレミス構成とすることが多い
クラウド インターネット上のサーバーやアプリケーション、データセンターを提供するサービス。企業内にサーバーを持たなくても、信頼性の高いサービスをすばやく利用できることから、普及が進んでいる。
活用する BI ビッグデータからビジネス上の有用な知識を発見するための手法の総称。統計的な分析手法が利用される。
AI 人間的な判断、知的な作業が可能なコンピュータープログラム。ビッグデータから機械学習により、ニーズのある知識を見つけ出し、その知識を利用して、分類・判断・予測などを行う。

 

この他、各技術要素すべてに関連するセキュリティ技術も重要な要素として位置付けられます。

 

 

まとめ

幅広い内容なので、すべてを押さえるのは難しいと感じるかもしれません。しかし、先ほども少し触れましたが、細かい専門知識でなく全体を俯瞰できる知識が必要です。その習得方法は、人それぞれではありますが、私のお薦めは「IoT検定」です。IoT検定合格を目指し学習することで、技術分野のみならず、マーケティングやサービスの提供、ユーザーの視点から必要となるカテゴリ、スキル要件などを網羅し、それぞれの立場でIoTシステムの企画・開発・利用するために必要な知識を効率よく習得することができます。私もIoT検定を取得し、学んだことが今につながっていると感じています。

IoT検定のWebサイト:http://www.iotcert.org/about/

 

この記事を書いた人

後藤 昌治

後藤 昌治

大手電機メーカーで20年以上に渡り、コンピュータ製品のハードウェア、組込みソフトウェア、運用管理システムの開発および海外パートナーとの技術提携等を幅広く担当。
その後事業会社にて、自動化システムの開発、業務プロセス改革、ビッグデータ活用等のプロジェクトに参画し、ITで会社の業務を支えてきた。現在、メーカーとユーザー企業で培った経験を基に、IT経営コンサルタントとしてものづくり企業の経営支援に奮闘中。また、サートプロIoT技術講師としてIoT、クラウド、データ分析/AIなどの講座も担当する。

主な資格
- 中小企業診断士、ITコーディネータ
- IoTプロフェッショナルコーディネータ
- エンベデッドシステムスペシャリスト、情報処理安全確保支援士 等

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この記事を書いた人

後藤 昌治

後藤 昌治

大手電機メーカーで20年以上に渡り、コンピュータ製品のハードウェア、組込みソフトウェア、運用管理システムの開発および海外パートナーとの技術提携等を幅広く担当。
その後事業会社にて、自動化システムの開発、業務プロセス改革、ビッグデータ活用等のプロジェクトに参画し、ITで会社の業務を支えてきた。現在、メーカーとユーザー企業で培った経験を基に、IT経営コンサルタントとしてものづくり企業の経営支援に奮闘中。また、サートプロIoT技術講師としてIoT、クラウド、データ分析/AIなどの講座も担当する。

主な資格
- 中小企業診断士、ITコーディネータ
- IoTプロフェッショナルコーディネータ
- エンベデッドシステムスペシャリスト、情報処理安全確保支援士 等

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