2016年5月にキヤノン株式会社は自社専用のトップレベルドメイン「.canon」を取得し、グローバルサイトをこのドメインに移行しました。このように新たなトップレベルドメインが最近増えてきています。トップレベルドメインとはどのようなものなのでしょうか。
トップレベルドメインとは?
ドメインはピリオドによって階層で分けられています。では、以下のドメイン名でトップレベルドメインはどれでしょうか?
「www.gmocloud.com」
「トップなのでwwwかな」と思ってしまいますが、答えは「com」です。comが最上位のドメインで「gmocloud」はcomの下の階層になり、「www」はgmocloudの下の階層になります。
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トップレベルドメインには
・国・地域別のドメイン(ccTLD=country code Top Level Domain)
・分野別のドメイン(gTLD=generic Top Level Domain)
があります。
なお、このほかにネットワークインフラドメイン(Infrastructure TLD)「.arpa」がありますが、一般の利用者は使用しません。
ccTLDの例
ccTLDは、例えば日本は「.jp」、アメリカ合衆国は「.us」というように現在はほとんどの国・地域が独自のドメインを持っています。
ccTLDの扱いは国によって異なります。「.jp」は、日本に住所がなければ使用できませんが、国によってはそのキャッチーな名前を活かして輸出する国もあります。
ヨーロッパ南東部、バルカン半島にあるモンテネグロは2006年の国民投票によって僅差でセルビアから独立を果たしました。それまでのドメインはユーゴスラビアの一部として「cg.yu」を使用していましたが、独立することにより独自ドメイン「.me」を勝ち取ったのです。
このドメインの名前は非英語圏にもわかりやすい単語です。例えば、顧客に行動喚起をする「notify.me」やウェディングサービス「willyoumarry.me」などにも使えるため、世界で人気が沸騰。現在このccTLDを使用している8割弱の所在地はアメリカや中国となっています。
ccTLDで輸出額の約2%に相当する売上をあげているモンテネグロのように、ccTLDをマネタイズして国の経済振興に活かしている国は、ほかにもあります。オセアニアにある国ツバルのccTLD「.tv」はブロードキャストメディアから注目を集め、トンガ王国のccTLD「.to」は「how.to」「go.to」などで使いやすいと人気となっています。
最近トップレベルドメインが増えている?
一方gTLDは、当初誰でも使える「.com」「.net」「.org」と使用に一定の要件がある「.edu」「.gov」「.mil」「.int」の7つしかありませんでした。2000年に「.biz」「.name」など7つが追加されて以降追加が進み、2011年には22に増えました。
2012年になると、TLDを管理している組織ICANNは「新gTLDプログラム」を開始しました。ある一定の規約に則った名前であれば登録を認めるほか、漢字やアラビア文字などASCII以外の文字の使用を認めるなど、従来のgTLDの登録方法からルールを大幅に自由化しました。
これにより新しいgTLDが次々に誕生しています。中でも注目されているのが、「.tokyo」といった地域性を表すものと「.shop」といったサイトのブランドを高めるものです。「.tokyo」は2020年オリンピックに向けて東京の魅力を発信する役割を期待されています。また、「.shop」は名前のわかりやすく、ネットショップを探す利用者に検索エンジンで検索されやすくなるといった商業的な効果が期待されています。
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トップレベルドメインは、国・地域別に割り当てるドメイン(ccTLD)の整備が進んだことと、トップレベルドメインを管理するICANNが「新gTLDプログラム」で自由度の高い名称を登録することが可能になったことから飛躍的にその数が増えています。特に新しく追加されたトップレベルドメインは他のサイトと名前が重複する確率が低いため、これからサイトを構築する場合は新しいトップレベルドメインの採用も検討しておくとよいでしょう。