Plesk Editionとは
Plesk Editionの違い
(1)顧客層、サーバー用途や管理体制の違い
(2)対応ドメイン数の違い
(3)提供機能の違い
(3-1)ドメインごとにサービス管理できる『サービスプロバイダーモード』
(3-2)WordPress Toolkit(管理ツール)
(3-3)Pleskに付随する他の管理ツール
(3-4)Plesk Edition別のGUI(管理画面)の違い
(4)料金の違い
最後に
クラウドサーバーやVPSを効率よく使いこなすには、最適なサーバー管理ツールの選定が重要です。今回は、384,000※以上のサーバーで利用されるなど絶大な人気を集めるサーバー管理ツール「Plesk(プレスク)」の異なるEdition(エディション)に注目して、その選び方をご紹介いたします。
※Plesk社調べ(2020年1月時点)
Plesk Editionとは?
2019年リリースの最新版「Plesk Obsidian(プレスク オブシディアン)」では、3種類のEditionが用意されています(2021年10月時点)。
<Plesk ObsidianのEdition一覧>
・Plesk Web Admin Edition(プレスク ウェブ アドミン エディション)
・Plesk Web Pro Edition(プレスク ウェブ プロ エディション)
・Plesk Host Edition(プレスク ウェブ ホスト エディション)
Pleskは、Editionごとに提供機能、仕様や料金が異なります。Pleskを上手に使いこなすには、Editionの違いを理解し、最適なEditionを選ぶことが大切です。
Plesk Editionの違い
Plesk Editionの違いとしては、以下の4点があげられます。
(1)利用顧客層、サーバー用途や管理体制
(2)対応ドメイン数
(3)提供機能
(4)料金
分かりやすくPlesk Editionの比較表で違いを見てみましょう。
[一般的なPlesk Editionの比較表]
サービスプロバイダー管理 | |||
---|---|---|---|
リセラー管理 | — | — | ◯ |
契約管理 | — | ◯ | ◯ |
アカウント管理 | — | ◯ | ◯ |
ユーザー機能 | |||
WordPress Toolkit | △ | ◯ | ◯ |
Plesk Mobile Manager | ◯ | ◯ | ◯ |
セキュリティ機能 | |||
Let's Encrypt (ドメイン認証型SSL証明書) |
◯ | ◯ | ◯ |
セキュリティコア (ModSecurity/ Fail2Ban) |
◯ | ◯ | ◯ |
Outbound AntiSpam | ◯ | ◯ | ◯ |
ServerShield | ◯ | ◯ | ◯ |
Pleskを提供するクラウド・ホスティングサービス事業者のWebサイトでは、Plesk Edition別の機能対応表が掲載されているのが一般的です。
クラウド・ホスティング事業者のWebサイトにあるPlesk Editionの比較表を見て、対応ドメイン数などで直感的にEditionを選ぶ方が多いのではないでしょうか。ドメイン数以外にも、注目すべき差別化のポイントはあります。
では、Plesk Editionの違いを掘り下げてみましょう。
(1)顧客層、サーバー用途や管理体制の違い
Pleskは、個人はもちろん、Web制作会社、SIer、クラウド・ホスティングサービス事業者など幅広い法人層から人気を集めています。そのため、利用する顧客の立場、サーバーの利用用途や管理体制の規模を考慮したEditionが用意されています。
[顧客層、サーバー用途や管理体制の違い]
Plesk Edition名 | Plesk Web Admin Edition |
Plesk Web Pro Edition |
Plesk Web Host Edition |
---|---|---|---|
おすすめ利用者 | ・Webサイト管理者 ・ブロガー ・Webマスター ・開発者 |
・Webデザイナー ・デジタルエージェント ・ITシステムの管理者 |
・レンタルサーバー/ホスティングサービス事業者 ・Webエージェンシー |
管理スタイル | ・ご自身でサーバー、メールやWebコンテンツ管理を行う
・企業担当として一人、または極めて少人数でクラウド/VPS環境の構築と運用 |
・個人で、または企業担当者として10を超えるドメインを保有し、サーバー、メールやWebコンテンツ管理を行う
・サーバー管理者とコンテンツ管理者が異なり、複数人または小・中規模な組織で利用するのに最適 |
・個人で、または企業担当者として30を超えるドメインを保有し、サーバー、メールやWebコンテンツ管理を行う
・サーバー管理者を始めとする組織で管理され、提供サービスを社内外のユーザーが利用するケースに最適 |
主な利用例 | ・個人用VPSやクラウドなどでのサーバー管理や構築用途 ・Webのみ利用するなど、ごく限定された用途向けのサーバー ・共用サーバーからのステップアップ |
・自社サイトの運用、他社サイトの受託運用などで、ログインするユーザーが限定的 ・WordPress管理者やそのコンテンツ担当者 |
・共用レンタルサーバー/ホスティングサービスを提供 ・複数の会社/団体のWebサイトなどを一台のサーバーで管理 ・教育機関などでの利用 ・社内外の立場の異なる複数ユーザーがログインをするケース |
このように顧客層、サーバー用途や管理体制などの複合条件から、ご自身の立場にもっとも近いEditionを選ぶことができます。
たとえば、自社クライアントの規模に応じて、個別にサーバー環境を構築・運用する中規模なWeb制作事業者であれば、Plesk Web Pro Edition以上がおすすめです。
(2)対応ドメイン数の違い
Pleskを利用するには、ドメインが必要です。Pleskにドメイン/サブドメインを登録して、契約者(※1)や付随するホスティングプラン(※2)を管理できます。
※1 Pleskにおける契約者とは、登録したドメインや付随サービスの利用者を指します。
※2 Pleskにおけるホスティングプランとは、ホスティングサービス提供する際のプランです。レンタルサーバーで提供されているプランをご自身で作ることができます。具体的には、ホスティングプランに割り当てるディスク容量やトラフィック使用量の上限、ドメイン数、スクリプトの使用許可など、ご自身で定められます。
Plesk Hosting Editionでは、ドメインを登録・管理ができます。サーバー管理者は、誰がドメインをどのように利用しているかなど利用状況を一元管理できるので便利です。
[Plesk Host Editionで複数ドメイン管理画面]
Plesk Editionでは、使用できるドメインの上限数などが定められています。
[Plesk Editionで利用できるドメイン数]
Plesk Edition名 |
Plesk Web Admin Edition |
Plesk Web Pro Edition |
Plesk Web Host Edition |
---|---|---|---|
ドメイン数 | 10 | 30 | 無制限 |
導入時点の管理ドメイン数ではなく、どれくらいドメインを追加登録するのか、将来的な利用計画を見据えた上でPlesk Editionを選びましょう。
(3)提供機能の違い
次にPlesk Edition別の機能比較表を見てみましょう。
[Plesk Edition別の機能比較表]
個人や極めて少人数によるサーバー管理に最適なPlesk Web Admin Editionに比べると、上位2つのEditionには「サービスプロバイダーモード」が実装されるなど、組織的なサーバー管理向けの仕様になっています。
前述の対応ドメイン数と全Edition共通の標準機能を除くと、Plesk Edition選定時に注目したいポイントは以下の3つです。
(1)サービスプロバイダーモードの有無とその内容
(2)WordPress Toolkit(ワードプレスツールキット)
(3)Pleskに付随する他の管理ツール
(3-1)ドメインごとにサービス管理できるサービスプロバイダーモードとは?
サービスプロバイダーモードを利用することで、サーバー上で管理するドメインごとに特定のディスクやトラフィック使用量などを割り当てる、スクリプト使用を許可するなど、独自のホスティングプランを作成して利用できます。また、契約、顧客と言った単位での、柔軟なリソース管理が可能になります。
部署ごとにサーバーやメール環境などを必要とする中・大規模な組織、クライアントを多数抱えるWeb制作会社など、用途や利用者に応じてサーバー環境を構築する必要がある場合、とても役立ちます。
GMOクラウドアカデミーでは、Web制作会社向けにホスティングサービスを提供するノウハウ記事を公開しています。サービスプロバイダーモードの利用イメージを確認してみましょう。
Web制作会社必見!Pleskを使ったおいしいホスティングサービスの提供方法とは?
また、サービスプロバイダーモードには、リセラー管理機能が含まれます。これにより、サーバー・リソースを再販できます。クラウド・ホスティングサービス事業者として、独自のホスティングプランを作成し、ドメインを登録し、新規の顧客アカウントを発行するなど、再販業務を効率よく進められます。
(3-2)WordPress Toolkit(管理ツール)
Pleskでは、Plesk Extensions(プレスク エクステンションズ)と呼ばれる拡張機能があります。管理画面から購入して、Pleskの機能拡張を図れます。
Pleskの全Editionでは、WordPressの導入から運用・保守まで一元管理できる「WordPress Toolkit」が提供されています。上位2つのEdition(Plesk Web Host EditionとPlesk Web Pro Edition)ではすべての機能を利用できますが、Plesk Web Admin Editionでは簡易版の提供にとどまります。管理業務の効率化をどこまで重視するかで選択が分かれるところです。
WordPress Toolkitの主だった機能です。
・WordPress、プラグイン、テーマのインストール
・サーバー上のすべてのWordPress、プラグイン、テーマを管理、更新
・WordPressのコピーをして複数サイトを立ち上げる
・WordPressの本番環境をコピーして、テスト(ステージング)環境を構築
・WordPressのWebサイトをパスワードで保護
・WordPressのセキュリティ強化
・メンテナンス画面を表示するメンテナンスモード
・WordPress管理のコマンドラインインターフェース「WP-CLI」へのアクセス
GMOクラウドアカデミーでは、WordPress Toolkitを利用して、バージョンアップなどWordPress管理を手間なく行う様子をまとめた記事を公開しています。
煩雑なWordPressやPHPのバージョンアップ作業にさよなら!PleskのWordPress Toolkitを使ったらくらく運用法をお教えします!
(3-3)Pleskに付随する他の管理ツール
Plesk Extensionsのひとつ、「Developer Pack」の有無も注目ポイントです。PgSQL、MSSQL、ColdFusionといった人気データベースやWebアプリケーションサーバーを手間なくインストール&管理できるツールです。
(3-4)Plesk Edition別のGUI(管理画面)の違い
Plesk GUI(管理画面)のメニューも、Plesk Editionに応じて異なります。提供機能に比例して、メニューは増えます。
[サーバー管理者向けPlesk メニューの違い]
・Plesk Web Admin Editionは、サーバー管理機能より、コンテンツ管理などの機能を優先した表示になります。
・Plesk Web Pro Edition/Web Host Editionには、サービスプロバイダービューが追加されます。より広範囲かつ柔軟なサーバー管理を実現します。Plesk Web Admin Editionと同様のコンテンツ管理などの機能を優先した表示に変更して利用することも可能です。
・リセラーは、Plesk Web Host Edition のみのメニューです。
(4)料金の違い
Pleskは、Plesk社または提携パートナーであるクラウド・ホスティング事業者から購入可能です。購入先に応じて、米ドル決済または日本円決済となります。月額課金型が主流で、提供機能の多いPlesk Editionほど料金があがります。
Plesk社の公式サイト(英語)の料金表を見てみましょう(2021年10月時点)。
[Plesk社が提供するPleskの料金表]
Plesk社の公式サイトでも米ドル決済で購入可能です。主要クレジットカードとPayPalに対応。Plesk社の料金表によると、サーバータイプ(VPSまたはDedicated)と支払い期間(MonthlyまたはYearly)に応じてPleskの料金は異なります。
Plesk社から直接購入も可能ですが、サーバーなどへのインストール作業が別途必要であること、また支払先やサポート窓口が分かれるなど煩雑な管理業務を考えると、提携パートナーからサーバーと一緒に購入するのがおすすめです。
[GMOクラウドの提供するPleskの料金表(税抜き)]
Plesk社の提携パートナーであるクラウド・ホスティングサービス事業者のWebサイトでは、サーバーのオプションとしてPleskが販売されています。Plesk Edition別の料金表が掲載されており、日本円決済の月額課金型が主流です。
最後に
Plesk Editionの違いや、選ぶ際に注目するポイントをお伝えしましたが、いかがでしょうか。ご自身に最適なPlesk Editionをうまく絞り込めましたでしょうか。
導入後に後悔しないためにも、時間が許す限り、実際にPleskを使ってみる「お試し利用」をおすすめいたします。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
GMOクラウドアカデミーでは、ビジネスに役立つ情報を発信してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。