インターネットやネットワークの設定の際に、よく目にするIPアドレスという言葉。詳しいことはよくわからないという方も多いのではないでしょうか?本記事ではIPアドレスの役割や種類など、わかりやすく解説いたします。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、『インターネット・プロトコル・アドレス』の略で、インターネットやLANなどの、ネットワークに接続されたパソコンや、スマートフォンなどの機器を判別するために、割り振られた識別番号です。
インターネット上でパケット(通信データ)を送受信するためには、IPアドレスが必要となります。そのため、今あなたが扱っているパソコンやスマートフォンにも、IPアドレスが割り振られています。
また、IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と呼ばれるインターネット接続用に使用されるアドレスと、「プライベートIPアドレス」と呼ばれる外部から利用することができない家庭や社内など、ローカルネットワーク接続に用いられるアドレスの2種類が存在します。
IPv4とIPv6の違い
IPv4とIPv6は一言でいうと、インターネット上の通信規約であるインターネットプロトコルの、バージョン違いとなります。
IPv4は、インターネットが普及し始めた1990年代より利用され、2017年現在でもインターネットの通信は、ほとんどがIPv4で行われています。IPv4ではアドレスを32ビットのデータとして「192.68.1.1」の形式で表現されます。エリアごとに「.(ドット)」で区切られて、0〜255のいずれかの10進数の値が設定可能です。そのため、IPv4の形式ではインターネット上で識別可能なアドレスは、最大43億通りとなります。
IPv6は、現在普及されているIPv4のバージョンアップ版として、次世代で活用されることを目的として設計されました。
IPv6ではアドレスを128ビットのデータとして「2001:0db8:0000:1111:aaaa:bbbb:0000:0000」の形式で表現されます。16ビットごとに「:(コロン)」で区切り、識別可能なアドレスは、最大340兆の1兆倍のさらに1兆倍と、ほぼ無限の数のアドレスが、設定可能となります。
104 | 万(まん) |
108 | 億(おく) IPv4(約43億個) |
1012 | 兆(ちょう) |
1016 | 京(けい) |
1020 | 垓(がい) |
1024 | (じょ) |
1028 | 穣(じょう) |
1032 | 溝(こう) |
1036 | 澗(かん) IPv6(約340澗) |
IPv6がなぜ必要か?
インターネットに接続して通信を行うためには、クライアントとサーバーの機器の双方に、IPアドレスの設定を行うことが不可欠となります。しかし、IPアドレスを割り当てることができなければ、ネットワークにつながる機器に接続することが、不可能になります。
ITの技術革新により、インターネットに接続する端末が爆発的に普及していますが、上述したようにIPv4のアドレスは43億通りしか設定できないため、IPv4のインターネット上に接続できるグローバルIPアドレスが枯渇してしまい、機器の増設が不可能になってしまいます。
設定可能数が43億通りもあれば、十分な気もしますが、現在ではパソコン以外にもスマートフォンやテレビ、冷蔵庫などのデジタル家電もインターネットを使用し、IPアドレスが割り当てられているため、IPv4のアドレスが不足する大きな要因となっています。
そのため、より多くのIPアドレスが登録可能な、次世代インターネットプロトコルであるIPv6が、普及されつつあります。IPv6は前述の通り広大な領域のアドレスを確保することが可能なため、先進国の主導により移行が進んでいます。日本の各企業も、IPv6の普及に向けて動き出しています。
IPv4からIPv6への切り替えには、さまざまな問題があります。通信するためのパケット方式が異なるため、互換性が無いことや、IPアドレス空間の大きさも違います。例えばIPv4で割り当てられた機器と、IPv6で割り当てられた機器では、互いに直接通信することはできません。
しかし、現実問題としてIPv4は枯渇しつつありますので、IPv6への移行を加速化させることや、IPv4と共存させるための対策がとられています。