ご無沙汰しております。田(でん)です(。・ω・。)!
久々に『突撃!となりのエンジニアシリーズ』ということで、今回は、GMOクラウドのクラウドホスティング開発室に所属している藤永さんに分かるようで分かってなかった専門用語を分かりやすく教えていただきました!
今回のテーマは「P2V(ピーツーヴイ)」です!
--まずは、藤永さんについて教えてください。
田:本日はお忙しい中、ありがとうございます!早速ではありますが、まずは、藤永さんについて、教えていただきたいと思います。実は、私も今回の企画で初めてお話しするのですが、GMOクラウドにはいつごろ入社されたのでしょうか?
藤永さん:入社はわりと最近で、ちょうど1年くらい経ちましたね。入社してからはずっとクラウドホスティング開発室に所属しています。
田:クラウドホスティング開発室では、どのようなお仕事をされているんですか?
藤永さん:クラウドホスティング開発室は、GMOクラウドが提供している各種商材をサポートするツールを作ったり、ポータルの画面改造など、特定の商材にこだわらないさまざまな商材にかかわる開発案件を幅広く対応している感じの部署ですね。最近ですと、別サーバーから簡単に移行できるようにマイグレーションツールの開発を担当させていただいています。これから少しずつサービス企画の技術サポートといった仕事も増えていく予定です。
田:開発だけでなく、技術サポートも担当するということで、より幅広くなりそうですね!以前はどのようなお仕事をされていたんですか?
藤永さん:前職は、基幹業務向けのサーバーのミドルウエアやOSなどを作ったりしていました。案件の一つでとある会社のクラウドシステムを担当する機会があり、クラウドに興味が湧いて、GMOクラウドに転職したんです。
P2Vとは?
田:では、本題に入っていきたいと思いますが、そもそもP2Vとは簡単にいうとどのようなものなのでしょうか?
藤永さん:P2VとはPhysical to Virtualの略で、簡単にいうとお客さまが使っている実際のPCやサーバーといった物理環境をクラウドなどの仮想環境にそのまま移す機能です。
田:物理サーバーで使っていたシステムをそのままクラウドサーバーに移すことで、移行を簡単にするということですね?
藤永さん:そうですね。以前は、物理サーバーの利用が一般的でしたが、サーバーのリソースを自由に増減できるというメリットもあり、最近は物理環境からクラウド環境への移行の需要も増えてきています。しかし、物理環境で使っていたシステムをクラウド環境で一から新しく環境を作るというのは、とても大変な作業になるので、まるごと移す方法の一つであるP2Vが注目されています。
田:なるほど・・・!最近はそのような要望が増えてきているんですね。P2V自体は最近よく聞くようになったように思いますが、最近できた機能なのでしょうか?
藤永さん:
P2Vという呼び方になったのは最近ですが、技術としては仮想化が始まった頃から、存在していました。仮想化ができた時、とりあえずDISKからイメージデータを抜き出して仮想環境で利用するということを当時からやっていました。
田:確かに!仮想化ができたタイミングで、ハードからデータを持ってくる需要は、ものすごくありそうですね!
藤永さん:そうですね。しかし、当時はデータをそのまま移したら、うまく動かないことが多く、修正やチューニングをするのが結構大変でした。動いているシステムの場合は、長い時間止めたりして、業務も止まってしまうことがありました。相当詳しい人がいてもうまくいかなかったり、とても時間がかかっていたんです。
田:想像するだけでも大変そうです・・・。最近では、P2Vの技術も改善されてきているのでしょうか?
藤永さん:はい。今では、どんどん需要も増えてきたので、ツールなどが改善されて、システムを止めなければいけない時間も以前と比較して減り、サービスへの影響が減りました。P2Vに関するノウハウも増えてきているので、仮想化する際の実用的な移行手段の一つに間違いなくなってきていますね。
P2Vのメリットとは?
田:お話を聞いていて、P2Vを使うと移行が通常よりも楽にできるようになるのかなと感じているのですが、具体的にどのようなメリットがあるのか、教えていただけますか?
藤永さん:P2Vを使うメリットとして、クラウド環境にシステムを持ってきた時に、一から構築せずに済むということでしょうか。
田:なるほど・・・。クラウド環境に移すということは、新しい環境に対応するために、システムを新たに作るといったこともあり得るということですよね・・・?想像するだけでも大変です・・・。
藤永さん:はい。今動いているサーバーをデータなども含めて、クラウド上に本当に一から作るというのは大変で、それが会社の重要なサーバーであればあるほど大変です。そのためにP2Vを利用してサーバーをそのままクラウドに持っていった方がいい場合もあるということですね。
もう少しイメージが湧くように例えると、今使っている自分がスマホにいろいろアプリ入れていますよね?それを新しいスマホでデータや設定も含めて同じ状態にしてっていうだけでも結構大変じゃないですか?
田:確かに・・・。たかが自分のスマホでもバックアップでそのまま新しいスマホに入れられずに、最初からってなると気が滅入りますね・・・。
藤永さん:そうですよね。それが会社の大切なサーバーってなると、本当に膨大な時間がかかるし、大変なことなんです。その移行の負担を減らすというのが、P2Vの一番のメリットだと思います。
その他のメリットとしては、システムが特定のOSや環境でしか動かないといった制限がある場合が上げられます。
田:P2Vを使うとクラウド環境で提供していないような古いOSもそのまま持ってくることができるということですか?
藤永さん:お客さまが現在使っているOSやアプリをそのままバージョンなどを変えずに持ってくることができるので、既に手に入らないバージョンを利用していたりバージョンが異なる場合の検証が、大変な場合などでも対応できます。
あまりにも古いOSだとサポートできない場合もありますが、とりあえずは新しい環境に合わせてシステムを構築せずに使えるのは大きな利点です。
P2Vはがんばったら自分でもできるようになりますか?
田:ここまでお話を聞いていて、P2Vって自分でやるのは大変そうだなとは感じているのですが、実際のところがんばったら、自分でもできるものなんでしょうか?
藤永さん:ケースバイケースではありますが、VMwareなどの各種ベンダーでは、P2Vができるツールが提供されているので、できないことはないかとは思います。ベンダーじゃなくても、P2Vのソフトウエアを出していたりもしますので、そういったツールやソフトウエアを使うことになりますね。ソフトウエアは無料で使えるものもあったりします。
田:無料で使えるものもあるんですか!
藤永さん:はい。無料で使えるものの例として、VMwareはVMware vCenter Converter Standaloneというものを出していますし、Linux に組み込まれたオープンソースの仮想化技である KVM(Kernel-based Virtual Machine)では、サポートツールとしてvirtp2vというツールが公開されていたりします。
田:なるほど!これらはVMwareやKVMの環境で使えるP2Vツールということですね?
藤永さん:そうですね。P2Vの一つのネックになる点としては、全てのクラウド・仮想環境に使えるP2Vのツールは基本的にないということですね。例えばVMwareはVMwareの仮想環境に特化したP2Vツールを提供しているし、CitrixはXenの仮想環境に合ったものを提供しているという感じです。
有償であれば複数の環境で使えるP2Vツールを出しているところもありますが全ての環境がサポートされているわけではありません。
田:基本的にそれぞれの仮想化環境に合ったツールが提供されているんですね!他にもネックになることってあったりしますか?
藤永さん:他にも例えば、クラウドベンダーが提供しているクラウドサービスを使っている場合は、P2Vに利用する機能を公開していない場合があります。例えばVMwareであれば、P2Vを行うためには、vCenterなどのVMwareを管理する時に使うソフトウエアを使う必要がありますが、それらの使用がクラウドサービスによっては、制限されている場合もあります。
田:なるほど・・・。そうなるとクラウドサービスだと自分でP2Vの作業が行えない場合があるというわけですね・・・!
藤永さん:そうですね。なので、自分たちで仮想環境を所有している場合であれば、P2Vを自分たちで試しやすいと思います。
これからP2Vを検討している人が気をつけるべきポイントとは?
田:お話を聞いていると、結構難易度が高そうだなと思っているのですが、P2Vを検討している人が知っておいた方が良い点などありましたら、教えてください。
藤永さん:P2Vは確かに難易度が少し高いですね。まず、先ほど紹介したP2Vツールを使って、データを仮想環境に変換できても、その後にアプリケーションの設定の修正が必要な場合があることは、認識しておいた方が良いと思います。OSの起動まではサポートできても、お客さまが利用している個々のシステムやアプリケーションの設定まで全てサポートできるようなツールはないんです。
田:確かにお客さまのシステムまでサポートするというのは、なかなかハードルが高そうですね。ツールでは限界があるということですね。
藤永さん:なかなか全てをサポートするというのは、難しいですね。例えば、お客さまが作ったアプリケーション中にハードウエア固有の設定がある場合やIPアドレス、ドライバーなどを必要に応じて書き換えないといけないです。そこは、移したのに動かない!とならないように何を書き換えなければいけないのか事前に認識しておいた方が良いかと思います。
田:そうしないといざ移行する時にバタつきそうですね・・・!
藤永さん:はい。P2Vを実施する前に要求事項を明確にした方が、スムーズにいくと思います。
田:事前にやるべきことを明確にするということですね!他にも何かあったりしますか?
藤永さん:あとは、引っ越しみたいなものなので、移行期間のスケジュールに余裕を持っておくと良いと思います。大量のデータがあったり、あまり太い回線を持っていない場合は、データの移行だけでも結構時間がかかったりしますね。アプリケーションの動作確認なども必要ですので、全て踏まえたスケジューリングが必要になってきます。
データ量が多すぎる場合は、ハードディスクをそのまま郵送してもらってデータをサービス提供者側でデータを取り込むというサービスを利用することも検討したりしますが、郵送であるために少し時間がかかります。
田:そのサービスを使えば、太い回線がない方はとても助かりますね!
藤永さん:あとは、ポイントとして、P2Vを実施する場合、P2Vを行ってくれる企業にお願いした方が安心なのはもちろん、今何のサービスが動いていて、どんな設定がされているのかを把握している方が、お客さま側にいるとものすごくスムーズに進めやすくなると思います。
P2VはV2Vとはどう違うの?
田:P2Vについてとてもよく分かりました。ありがとうございます!最後にV2Vという単語もよく聞くようになったので、P2Vとの違いについて教えていただけますか?
藤永さん:P2VとV2Vは、本質的には似ています。P2Vは物理環境から仮想環境へ移行する機能でしたが、V2V(Virtual to Virtual)は、仮想環境から仮想環境への移行する機能です。
田:なるほど!英語の通りで、仮想環境から仮想環境への移行になるんですね!
藤永さん:そうですね。VMwareからVMwareといった同じ仮想環境の移行なら固有の設定を除けば、ほぼ問題なく移行ができるのですが、例えば、VMwareからXen、Amazon EC2から他のクラウドサービスに移行するといった場合は、シンプルにはいかなかったりします。
田:そうなんですね!勝手なイメージですが、仮想環境はなんとなく柔軟なのかなと思っていました。
藤永さん:物理環境よりは柔軟ですが、意外と仮想環境でも物理環境と同じように環境に特化しているイメージになっていることが結構あるので、他の仮想環境にイメージを持っていったとしても立ち上がらないことが多いです。なので、P2Vと同じように仮想環境の固有のところを取り除いて、設定を変えて移行するサービスがV2Vです。
P2VとV2Vは、物理環境から仮想環境か、仮想環境から仮想環境かの違いはあるものの、新しい環境に変換するという意味では、非常に近いもので、同じツールで両方できることもあります。
田:ということは、V2Vの場合もP2V同様に移行後の設定やきちんと動作されるのか確認する必要があるから、スケジュールも同じように余裕を持つべきということですね!
藤永さん:そうですね。移行先での設定を書き換えたりする場合、ノウハウが重要になってくるので、いずれも企業のサーバーを移行するとなった場合は、専門家にお願いした方がいいでしょう。
田:そうですよね!難易度が高い技術なので、専門家に相談してみるのが、良さそうですね。本日は、お忙しいところありがとうございました!
P2VやV2Vをご検討中の人はぜひGMOクラウドへ相談してみてください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました(*^^*)!!