2016.08.10

メール添付ファイルで遭遇するトラブル一例

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こんにちは。フリーエンジニアの木下です。
前回、ではユーザーの思うところを考えてみましたが、今回はユーザーがメールに添付ファイルを付与して起こるありがちなことを一点ご紹介します。

■添付ファイルのメールが相手に届かない

電子メール添付ファイルでよくあるトラブルの一つが、今回ご説明する「添付ファイルを付けると、メールが相手に届かない」という事象です。
エラーメールを見ると「size」や「limit」といった単語が書いてあります。
※エラーメールが返ってくるメールサーバーもあれば、エラーメールを返さないメールサーバーも世の中にはありますので必ずエラーメールで判断できるわけではありません。

この場合、自社のメールサーバーの送信容量上限と送信先となる相手のメールサーバーの送信容量上限の二つの条件を満たす必要があります。つまりユーザーがメールを生成し添付ファイル付きで送信するにあたって、本来であれば
「添付ファイルを含めたメールの総容量が、自社と取引先のメールサーバーの容量上限設定値未満かどうか」
という確認をしたうえで送信しなければならない、ということになります。
ですが、実際にこのような容量の上限を確認してからメールを送信するユーザー、というのは一部のレアなケースではないかと考えられます。

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■添付ファイルを圧縮する時

容量が大きいファイルをメールの添付ファイルで送付するにはどうすればいいか、という点について昔から以下のような方法が採られてきました。
1)圧縮して容量を減らす
2)ファイルを分割して、複数のメールに添付して送信
昔から採られている手法としては上記2点の対処方法が有名です。
容量が送信容量上限に近い場合には、まず圧縮を試みます。圧縮はZIPファイルに限らず、.rarや.lhaや.lzh、.7zなどが有名です。Linux系では、.tarや.tgz、.gzや.gzipなども有名です。
圧縮率では.7zが1番ですね。私もよく利用しています。
ちょっとしたTIPSですが圧縮率についてざっくりご説明します。
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1ファイル辺りの容量が巨大になりがちなログファイルを圧縮してみた例です。テキスト形式の「.log」ファイル24MB(24,881KB)を圧縮した場合の容量の違いを見てみましょう。

ファイル形式(圧縮形式) 容量(KB) 容量(MB、概算)
.logファイル(無圧縮) 24,881KB 24.2MB
.zipファイル(ZIP圧縮) 2,392KB 2.33MB
.gzファイル(gzip圧縮) 2,248KB 2.19MB
.7zファイル(7zip圧縮) 896KB 0.9MB

※圧縮はすべて同一ソフトの圧縮レベルを「標準」に設定し圧縮した場合の容量比較です。

一般的にWindowsのOS機能で圧縮できる形式がZIP形式です。ZIP形式はWindowsならOS標準の機能で展開が可能なためよく利用されています。このZIPファイル形式に圧縮を実施すると24MBあったテキストファイルの容量は2.33MBとなります。およそ10分の1程度に軽量化されます。

一方のLinuxをOSとした場合の圧縮ファイルは.gzファイルが使われることが一般的です。この圧縮形式はgzipやgunzipと呼ばれる圧縮ファイルで、OS標準で利用可能な形式なのでLinuxユーザーはよく利用するファイル形式です。この形式ですと2.19MB程度に軽量化されます。それほどZIPファイルと変わるところではありません。

圧縮率に定評のある.7zファイルに圧縮した場合の容量はこれらを超えて896KBになります。ZIP形式でも10分の1となりましたが、.7z形式ではそれを上回る20分の1以上の圧縮が可能です。容量も1MB未満で済みますので、単純計算で24MBのログファイルを650MBのCDに焼き込むとなると27ファイル格納できますが、ZIP圧縮では278ファイル格納でき、7zip圧縮では722ファイルも格納できることになります。

このように、圧縮率は圧縮ファイル形式や実際に圧縮するアプリケーションによって異なりますが、おおむねファイルは容量を削減することができます。ですが、ZIP形式では2MBになるけど、「この形式ならどれくらいの容量になるのか?」の結論はやってみなければ分からないところがあります。つまり、どの圧縮形式を選択するかは圧縮するユーザー自身で決定しなければならず、世の中にある主要な圧縮形式だけでも30以上の圧縮形式の選択肢があります。

どの圧縮形式を使えばよいのかという点は知識がなければ迷ってしまいますし、自分が選択した圧縮形式を受け取り手が展開できる環境であるとは限りません。さらに人によってバラバラの圧縮形式を利用してしまうことで、さまざまなファイル形式で野放図的に圧縮がされることによって、社内のあちこちに圧縮されて展開できないファイルが散在してしまう状況にもなりかねません。
単純に人任せの手作業で場当たり的に圧縮してしまうと、このように別の問題が発生してしまいます。
圧縮以外には手段がないものでしょうか?

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■添付ファイルを分割して送信する

実は、一昔前まではメール送信上限容量が小さかったこともあり、ファイル圧縮とファイル分割が併用されることが多かったのです。例えば圧縮したうえでそれでも送信容量上限にまで容量を減らせなかった時にファイルを分割する、という方法を採ることが多かったです。そもそも圧縮をせず最初からファイル分割しかしないというユーザーもいました。

近年ではファイル分割はそれほど使われなくなってきましたが、このもう一つの方法ファイル分割についても解説します。
フリーソフトなどを用いてファイル容量が大きなファイルを復元可能な方法で分割することを「ファイル分割」といいます。

例えばメールの送信容量上限が15MBまでであれば、前出の24MBのファイルを2分割して1ファイル=12MBとなる2ファイルを生成します。この生成したにファイルを2通のメールに各々ファイルを添付し送信することによってメール送信容量上限15MB以内に収まるためメールの添付ファイル送信が可能、という手法がファイル分割です。そのメールを受信した側ではファイル分割ソフト所定の操作を実行して2分割されたファイルを連結し元の24MBのファイルを生成することでファイルを手に入れることができます。

ですが、このファイル分割という手法は近年では使われなくなってきました。その理由について次回解説します。

この記事を書いた人

木下肇

東京/神奈川を中心に、都内中堅企業ではシステム部門の一員として部内インフラ業務に、別の小規模企業ではインフラ全般について管理業務の委託を受けるフリーエンジニア。オンプレミスの企業内インフラからクラウド環境のサーバ/ネットワークまで、OS守備範囲はWindowsからLinuxまで、障害の診断や修復/修理であればソフトからハードまで、幅広い守備範囲で日々お客様の業務を遂行しています。
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