業務の効率化に、データベースの管理は欠かせません。
ただデータベースの管理には、特別な知識やスキルが必要な場合があります。
この記事では、データベースの管理が必要な理由と、管理を効率化するデータベース管理システムの種類や、選び方について説明します。
目次
データベース管理が必要な理由とは?管理システムで効率化しよう
データベース管理システム(DBMS)を導入すると、必要なときに必要なデータをデータベースから抽出し、ビジネスに活用できます。
この記事では、まずデータベース管理システムについて簡単に説明します。
データベース管理システムの必要な理由、データベース管理システムの種類や選び方についても説明します。
さらにコストを抑えつつ、効率的にデータベース管理を行うために最適な方法をご紹介します。
データベースとは?
データベースとは、一定の形式に従って情報を保管し、外部からの問い合わせに応じて、適切な情報を返す仕組みです。
たとえば、取引先の情報や商品マスタなど、ビジネスに必要なデータを保管しておきます。
代金の精算時には、特定の期間に取引先に出荷した商品を抽出し、一覧で表示するなどの処理を行うことができます。
データベースの役割
データベースには、ビジネスに必要なデータを蓄積し、必要なときに適切な形で情報をとりだせるようにするという役割があります。
また、蓄積したデータの整合性を保ち、データに矛盾が生じたり、データが破損したりしないようにするのも、データベースの役割です。
そのためにデータベースには、データの「作成(Create)」、「Read(読み出し)」、「更新(Update)」、そして「削除(Delete)」の4つの機能が要求されます。
それぞれの頭文字をとって、CRUD(クラッド)と呼ばれます。
「データベース」と「ファイル」の違い
データを格納し情報を扱う仕組みという意味では、既存の「ファイル」(「ファイルシステム」と呼びます)と「データベース」に違いはありません。
ただこの両者は、情報へアクセスできる精度と、外部のプログラムからのアクセスのしやすさという点で異なります。
「ファイルシステム」では、記載された情報を読み書きするには、ファイル自体を開く必要があります。それに対して「データベース」では、ファイルを都度開かなくても、蓄積したデータそれぞれに対して個別にアクセスし、読み書きが可能です。
また「データベース」ではデータの形式が標準化されているため、外部のプログラムから容易にデータの読み書きが可能です。
「ファイルシステム」では、ファイルごとにデータ形式が異なるため、外部から情報を操作するのは容易ではありません。
「ファイルシステム」は一時的な作業メモなど、規模が小さく、また外部から問い合わせを受けることの少ないデータを管理する場合に使います。
対して「データベース」は、顧客名簿や会社の従業員データなど、企業全体の業務遂行に必要なデータを管理します。他の部署やシステムからの頻繁なアクセスや、データ損失を防ぐための機能を備えている必要があるためです。
データベース管理の必要な理由
ビジネスをとりまく状況は、常に変化しています。
そのためビジネス変化に対応するために、また、事業継続性という観点からも、データベースを適切に保守し、管理していく必要があります。
ここでは、以下の3つの点から、データベース管理の重要性を説明します。
- ・データ抽出の効率化
- ・マスターデータの保持
- ・ビジネス環境に応じた柔軟なデータベース加工・編集
データ抽出の効率化
データは、ただ蓄積しているだけでは役に立ちません。
ビジネス上の判断が必要になったとき、すばやく、柔軟に必要なデータを抽出できるようにしておく必要があります。
そのためには、データベースのデータ最適化を適切に行う必要があります。
正規化により、データの重複や不整合を排除して、データベースに対する検索速度を確保します。
また、複数のアプリケーションやシステムからのアクセスが容易になり、データの活用の幅が広がります。
またデータを検索するアプリケーションの画面デザインも大事です。
データを扱うのは人間です。運用するスタッフがストレスなく利用できるように、ユーザビリティを考慮した使いやすいデザインにすることが大事です。
マスターデータの保持
データベースでデータを管理するようになると、データの破損や喪失は、ビジネスの継続において致命的な結果につながります。
ストレージの故障などの突発的なトラブルによって、データが破損、喪失することを防ぐために、データベースのデータを定期的にバックアップすることをお勧めします。
データベースの重要度や規模によっては、遠隔地にデータベースのレプリケーション(複製)を構築して、毎日同期を行うこともあります。
またデータそのものだけでなく、データベースのテーブル構造や、データ抽出や加工を行うスクリプト、プログラムなどのバックアップも大事です。
なぜなら、そこにはビジネスロジックがそのまま反映されているためです。
データ自体のバックアップだけでなく、そうした「マスターデータ」を適切に保管しておくことも重要です。
ビジネス環境に応じた柔軟なデータベース加工・編集
事業のフェーズが進行していくにしたがって、データベースも変化していきます。
事業の開始時には必要だった手続きも、のちに業務を見直すと不要になることがあります。当然その手続きに関係するデータも不要になります。
また、ビジネスが成長していくにしたがって、扱う製品やサービスの種類は増えていくでしょう。
新しい製品の製品名や、製品タイプなどの情報もデータベースに追加する必要があります。
社員や部署の数も増えていきます。
申請や稟議などの承認フローも変わっていきますので、データベース構造だけでなく、処理のロジックにも手をいれる必要があります。
データベースの構造や処理のロジック、アプリケーション画面構成などの変更は頻繁に発生することが考えられるので、柔軟に変更作業が行える環境が求められるでしょう。
データベース管理には、「データベース管理システム(DBMS)」の導入がおすすめ
データベース管理システム(Data base Management System)を導入すると、データベースの作成や変更、更新作業などが、自動的に行えるようになります。
データベース管理システムを活用すると、例えば数万件規模の膨大なデータでも、データ検索の言語(SQLなど)を使用することで自動的にデータの整理、管理が可能です。
また、複数の人が同時にアクセスしても、データの整合性を確保する(排他制御)機能や、万が一に備えデータを他のところに保存する(バックアップ)機能、障害が発生した場合に備え遠隔地などに複製を作成する(レプリケーション)機能などにより、安心してデータベースを使用できます。
データベース管理システム(DBMS)の種類と選び方
データベースには、いくつかの種類があります。
現在「データベース」というと、たいていの場合は「リレーショナル型データベース」を指しますが、近年はビッグデータなどを処理が得意なNoSQLデータベースなども使われています。
以下の表に、データベースの種類をまとめてみました。
データベースの種類 | 特徴 | こんな場合におすすめ |
---|---|---|
階層型データベース | データ単位が親子関係を持つ、ツリー型のデータベース。 データ検索が早いのがメリットだが、構造の柔軟性に欠け、データの追加や削除に弱い。 |
データの追加、変更が頻繁に起こりにくいデータを使用する場合 |
ネットワーク型データベース | データ単位が網の目のようにつながるデータベース。 階層型に比べると、冗長性は排除されているが、依然としてデータへの依存性は高い。 |
データの追加、変更が頻繁に起こりにくいデータを使用する場合 |
リレーショナル型データベース | 複数の表(テーブル)を関連付けてデータを扱う。 クエリ言語のSQL(Standard Query Language)を使用して、柔軟なデータ処理が可能。 |
人事管理や生産管理など、互いに複数の属性が共通するようなデータを、柔軟に処理する場合 |
NoSQL | データ操作にSQLを使用しない(=No SQL)データベース。 リレーショナル型データベースよりも大規模なデータを、高速に扱える。 |
ビッグデータなど、大規模データを高速に処理したい場合 |
データベース管理を効率化するなら、無料管理システム『FileMaker』の導入がおすすめ
データベース管理システムを使いこなすには、ある程度のスキルが必要です。
例えばリレーショナル型データベースの場合、データを抽出するにはSQLと呼ばれる問い合わせ言語が必要です。
また抽出されたデータを、表やグラフなど分かりやすく視覚化するには、プログラミング言語を使用して、アプリケーションを開発する必要があります。
これらの開発スキルの教育コストや、外注による開発コストを抑えたい場合は、FileMakerの導入をおすすめします。
FileMakerではローコード開発をサポートしているため、開発言語を習得しなくても、データベースを活用したアプリケーションを開発できます。
例えば、データを記載したExcelファイルをドラッグアンドドロップするだけで、データベースを作成することができます。
FileMakerには無料の試用版がありますので、とりあえず始めてみるにはちょうどいいかもしれません。
まとめ
データベース管理システムを活用すると、ビジネスに必要なデータの抽出や、データの管理を効率的に行えます。
ただ初期のデータベース構築や、運用開始後のデータの活用には、ある程度のスキルやコストが必要になるため、気軽に試すというわけにはいかないかもしれません。
コストを抑えつつ、データベースを活用したビジネスアプリケーションの構築をすぐに開始するには、ATLUSの導入をお勧めします。
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