2023.09.25

オンラインストレージ「NextCloud」で自社に最適なストレージ環境を構築しよう

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オンラインストレージ「NextCloud」で自社に最適なストレージ環境を構築しよう

リモートワークをはじめとしたワーキングスタイルの多様化にともない、社内資料を自宅や外出先から扱いたいというニーズが高まっています。このようなニーズには、オンラインストレージを導入するのが便利ですが、どの製品を、どのように導入すればよいか、悩んでいる方は多いと思います。

この記事では、オンラインストレージ「NextCloud」について説明し、そのメリットやデメリット、導入方法などについて、簡単に説明します。

目次

  1. Nextcloudとは
  2. NextcloudとownCloudとの違い
  3. Nextcloudのメリット
  4. Nextcloudのデメリット
  5. Nextcloudの導入方法
  6. まとめ

Nextcloudとは

「NextCloud」とは、高機能なオープンソースのオンラインストレージです。

クラウド上のオンラインストレージサービスと異なり、自社のデータセンターに導入することができるため、自社のセキュリティポリシーや運用ルールに準じて、柔軟な運用が可能です。

また、単なるファイル共有機能だけでなく、カレンダー機能や連絡先など、グループワークに必要な機能も搭載しています。

オンラインストレージを導入したいが、クラウドサービスではセキュリティや可用性に不安がある場合には、自社の環境に導入可能な「NextCloud」は、ぴったりのソリューションかもしれません。

NextcloudとownCloudとの違い

「ownCloud」は、NextCloudとよく比較されるオープンソースのオンラインストレージです。

NextCloudはもともと、ownCloudからフォークされて生まれた製品です。

そのため、NextCloudとownCloudは多くの共通点を持ちます。

ownCloudでは、すべての機能を利用するには、商用の「ownCloud Enterprise」を購入する必要があります。

無料の「ownCloud Community」では、監査ログやファイルアクセス制御、ケルベロス認証のサポートなど、一部の機能が制限されています。

それに対してNextCloudでは、すべての機能を無料で利用できます。

また、ビデオチャットやカレンダー、連絡先の統合など、ownCloudにはない機能も利用できます。

Nextcloudのメリット

自社環境に構築可能なオンラインストレージNextCloudには、以下のメリットがあります。

  • 柔軟で高機能なファイル共有機能
  • セキュリティ
  • グループウェア機能(カレンダー、連絡先の共有)
  • プラグインによる機能追加

柔軟で高機能なファイル共有機能

NextCloudでは、ファイル共有を柔軟に行うことができます。

外部とのファイル共有

連絡先の統合により、NextCloudに保存したデータを、組織外のユーザーと簡単かつ安全に共有できます。

ファイルを送信したい相手に対して、ファイルへの適切なアクセス許可を付与することができ、いつでもアクセス権の変更や停止ができます。

既存のストレージサービスとの連携

Windowsのファイル共有やFTPサーバーなどの既存のファイルストレージや、Amazon AWSのS3やDropboxなど、外部のストレージサービスと連係することもできます。

マルチデバイス対応

NextCloudでは、WindowsやMac OS、Linux用にデスクトップクライアントアプリが用意されています。

その他、PCでのWebブラウザーやスマートフォンのアプリなど、ユーザーの利用環境にあわせ、さまざまな方法でNextCloud にアクセスできます。

ストレージを拡張可能

NextCloudでは、必要に応じてストレージを拡張可能です。

商用クラウドサービスでは、ファイル容量に応じて料金が追加される場合があります。

NextCloudでは、自前でハードディスクやストレージサーバーを調達し、追加すればよいので、それ以上の費用を支払う必要はありません。

セキュリティ

高いセキュリティを確保できることが、NextCloudの大きなメリットです。

適切なアクセス権の付与

ファイルに対してアクセス権を付与して、外部に共有できます。

共有先に応じて適切にアクセス権を設定することで、情報漏えいやメールの誤配信などの問題を回避できます。

また、共有時にパスワードを設定したり、共有期限を設定したりできます。

PPAP(メールに書類を添付し、パスワードを別のメールで送信する方法)対策として有効です。

自社のインフラ環境

自社の環境で構築、運用できることも、セキュリティ上の大きなメリットです。

自社のセキュリティポリシーに合わせて、セキュリティの設定を柔軟に行えます。

なにより、大事なデータを自社でコントロールできる環境にあるということで、大きな安心感を得ることができます。

グループウェア機能(カレンダー、連絡先の共有)

NextCloudにはグループウェア機能が統合されているため、単なるファイル共有サービスとしてだけでなく、社内、社外を含めたコラボレーションツールとして活用できます。

共有カレンダー

NextCloudのカレンダー機能を利用すると、社内だけでなく、社外のメンバーとも予定を共有できます。

また、ThunderbirdなどのCalDAVクライアントと連携できるほか、Googleカレンダーなどの外部カレンダーを利用できます。

連絡先の共有

NextCloudとスマートフォンなどのモバイルデバイスとで、連絡先を同期できます。

コラボレーション

NextCloud では、ビデオ会議や、画面共有など、グループでのコラボレーションに便利な機能を搭載しているため、業務効率が向上します。

エンタープライズ向け機能

NextCloudでは、ロギングなどの監査機能、ディレクトリサーバーとの連携やシングルサインオンなど、エンタープライズ向け機能にも対応しています。

プラグインによる機能追加

NextCloudに標準で搭載されている機能のほかにも、プラグインによって機能を追加することができます。

標準機能では物足りない機能をプラグインで補完したり、ワークフローに合わせて作業を自動化したりして、業務効率をアップできます。

Nextcloudのデメリット

もちろん、NextCloudはメリットだけではありません。

クラウドサービスのオンラインストレージと比べると、いくつか解決すべき課題があります。

  • セットアップと構成が複雑
  • パフォーマンスの懸念
  • セキュリティの懸念
  • サポートの限界

セットアップと構成が複雑

NextCloudは、データベースやウェブサーバーなど複数のミドルウエアと連携して動作するため、セットアップと設定が複雑になります。

外部公開のためのネットワーク設定やセキュリティの設定はもちろんのこと、OSのインストール、データベースやウェブサーバーの設定、PHPランタイムの導入など、NextCloudをインストールする以前にもやるべきことはたくさんあります。

クラウド上の商用サービスならば、ユーザー登録を済ませれば、すぐにサービスを利用できます。

NextCloudでは自社の状況に合わせて柔軟に構築できる分、自社で作業する必要があります。

パフォーマンスの懸念

NextCloudを自社の環境で運用する場合は、パフォーマンスの問題にも気を配る必要があります。

商用のクラウドサービスならば、ロードバランシングによる負荷分散や、クラスター化などによる耐障害性の確保など、パフォーマンス上の対策はすでに講じられています。

自社環境でNextCloudを構築する場合は、場合によっては、これらの対策を自社で検討する必要があるでしょう。

セキュリティの懸念

NextCloudを自社環境に構築し、外部のネットワークに公開して使用する場合には、セキュリティの設定も自社で行う必要があります。

サポートの限界

NextCloudはオープンソースなので、コミュニティーによるサポートが主体です。

日本国内では、株式会社スタイルズがサポートを提供していますが、有償になります。

Nextcloudの導入方法

NextCloudを導入するには、主に以下の2つの方法があります。

  • 自社の設備に、自分でNextCloudをインストールする
  • すでにNextCloudがインストールされているサーバーを利用する(おすすめ)

自社の設備に、自分でNextCloudをインストールする

NextCloudを自社環境に導入する場合、基本的には自社のデータセンターやサーバーにNextCloudを導入します。

組織によって異なりますが、おおむね以下の作業を、すべて自社で行うことになります。

  • 1. ユーザー要件のヒアリング、システム設計、ネットワーク設計など
  • 2. サーバー、ネットワーク関連機器、ストレージなどのハードウェアを調達
  • 3. サーバーOSのインストール
  • 4. サーバーのネットワーク設定、セキュリティ設定
  • 5. ミドルウエア(データベース、ウェブサーバーなど)のインストールと設定
  • 6. NextCloudのインストール
  • 7. NextCloudの動作確認、各種設定

システム要件

NextCloudをインストールするサーバーの推奨システム要件は、以下の通りです(2023年9月25日時点)。

Red Hat Enterprise Linux 8 Ubuntu 22.04 LT
ウェブサーバー Apache 2.4 with PHP-FPM or mod_php
Nginx with PHP-FPM
PHPランタイム PHP 8.0-8.2
データベース MariaDB 10.4~10.6
MySQL 8.0以降
PostgreSQL 10~15

すでにNextCloudがインストールされているサーバーを利用する(おすすめ)

自分でサーバーを構築するのが面倒な場合は、すでにNextCloudがインストールされているサーバーを利用するのも良いでしょう。NextCloudの運用ルールの検討や、セキュリティ設定などに注力できます。

GMOクラウドALTUSでは、すでにNextCloudがインストールされたOSテンプレートが、14日間無料で利用可能です。

また、本格的な設定を代行してくれるメニューもありますので、導入コストを抑えたい法人でのご利用にもおすすめです。

>>「Nextcloud設定代行サービス」を見る

まとめ

オープンソースのファイルストレージである「NextCloud」を導入すると、自社のニーズに合わせて高機能かつ柔軟なファイル共有を行えます。

また、拡張可能なグループウェア機能により、単なるファイル共有にとどまらず、社内、社外を含めたコラボレーションツールとして活用できます。

ただし、商用のクラウドストレージサービスと比べると、すべての設定を自社のスタッフで行う必要があるため、場合によっては時間とコストがかかります。導入時のコストを抑えつつ、NextCloudをすぐに利用したい場合には、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する国産クラウド「GMOクラウド ALTUS(https://altus.gmocloud.com/)」を導入することをお勧めします。NextCloudがインストールされたOSテンプレートを、14日間無料で利用できます。

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ALTUS NextCloud
監修
当記事は、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社のITエンジニアによって監修されています。

この記事を書いた人

suzuki

テクニカルライターとIT系の英日翻訳をしています。
オフィス用複合機や関連ソリューション、パソコンなどが得意分野。
「作る側」と「使う側」とのギャップを埋めるべく、日々がんばってます。
写真撮るのが好き。猫も好き。twitter: @se_necosys

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