2020.05.20

Web開発会社必見!Pleskの提供プラン構成の考え方とサービスプランの登録方法をご紹介!

難易度
2
カテゴリー
Plesk(サーバー管理ツール)
タグ
plesk

PleskPlan1


皆さま、こんにちは。鈴木です。以前から個人で運用しているPlesk Onyxの管理画面上部に、黄色い帯で、メッセージがログインの度に出力されるので、先日ついに最新版のPlesk Obsidianにアップグレードしてみました。

▼最新版の自動アップデートについては以下に公式情報があります。
https://www.Plesk.com/blog/partner-news/auto-updates-to-obsidian-and-new-controls/

アップグレードが始まって5分もかからずに完了、賢いじゃないですか。

といいながら、念のためにPlesk修復ユーティリティを起動して整合性に問題がないかチェックしてみました。チェックした結果、一部ファイルのパーミッションの異常が見つかり、指示とおりに修正を実施し、無事成功。

もうちょっとで100点を付けられたのですが、ほぼ自動的なアップデートは終えていたので、今回は90点を付けておきましょう。確実に信頼性と利便性の向上が進んだPleskですから、次はもっと良くなっているでしょう。今回の記事で紹介する各種画像は、最新版Plesk Obsidianの管理画面になりますのであらかじめご理解ください。

目次
・はじめに
・ユーザーニーズをカバーする3つのサービスプラン
・Pleskにサービスプランを設定しよう
・さいごに

はじめに

さて、前置きが少し長くなってしまいましたが、前回記事「Web制作会社必見!Pleskを使ったおいしいホスティングサービスの提供方法とは?」 では 、(A)シンプルなホスティングプランの提案をしました。このプランは、シンプルなサービス内容は少ない客数を想定していました。今回の記事は、10以上の客数の想定し、 Pleskのサービスプラン管理機能を活用して、複数のホスティングプランの考え方についてご紹介していきます。

Web製作会社が本来注力すべきは、ユーザー個別のニーズに応じたコンテンツ構築・メンテナンスによる収益プランです。今回提案するプランでは、より多くのユーザーニーズに対応するため、Plesk Pro(30ドメイン版)/Host Edition(無制限版)のサービスプラン(ホスティングプランとも呼びます)の機能を活用します。1サービスプランは1ユーザーニーズに対応し、複数のサービスプランの用意によって個々のユーザーニーズの実現を図ります。

ユーザーニーズをカバーする3つのサービスプラン

では早速、サービスプランについてブレイクダウンしていきましょう。

そもそも、 Web開発会社がターゲットとするユーザーのニーズはどのようなものでしょうか?一般的に、GMOクラウドさんのようなホスティング会社が販売するクラウドサービスを利用するようなニーズと、Web開発会社との間には、大きな隔たりがあります。

前者は、クラウド・ホスティングサービスという大きなカテゴリの中で、Web、メール、DBなどサーバーリソースを使いたいと考えるユーザーが対象であり、Webコンテンツの配信がゴールとすれば、コンテンツ構築管理からサーバー運用までの考慮をユーザー側が持たなければなりません。もちろん、自社運用ではなく、他社に運用を任せることもあるでしょう。

後者では、ターゲットユーザーは確実にWebコンテンツの作成、管理を望むのであって、配信を担うサーバーを自身で管理することは考えていません。

では、Web開発会社向けにはどのようなサービスを提案できるでしょうか。
前回の記事で提案した方針「開発したコンテンツをとにかく安定配信することが第一」であり、ユーザーがPleskの存在を気にしたり、コンテンツ配信に関わるサーバー運用への考慮は必要としない、というサービスの大前提は残します。
その上で、今回のプランで求められる、 "より多くのユーザーへの対応"を新しく材料として加え、1台のPleskサーバーにそれぞれ異なる要望を持ったユーザー利用環境を想定しつつ、シンプルで、選択しやすいサービスプランの提案を考えてみましょう。

プランといってもWeb開発会社の戦略次第で、その提供内容は大きく異なります。今回は、短期間のWebイベントのコンテンツ作成を数多く手掛けるWeb開発会社を1例として想定してみます。当然、より単価の高いサービスプランを売りたいのは山々なので、松竹梅の法則に照らし合わせつつ、ユーザーの最低限のニーズに合致した松のシンプルプランから始まり、ほとんどのユーザーが選択するであろう、ちょっと価格が上がるけど実的なベーシックプラン、さらに高価なゴールドプランを次のように用意しました。

松竹梅の法則とは、(いろいろな捉え方がありますが、)3つの選択肢から一つの選択を迫られる人が真ん中のアイテムを選びやすいという事実から、少しでも割高なサービスに誘導するマーケティング手法です。詳しくは、Google先生に質問してみましょう。

①シンプルプラン

契約期間6カ月で立ち上げる企画向け・・・1ドメインのコンテンツ配信、1ドメイン、1DB、1メールアドレスがあればいい良い。

例えば、夏期限定のイベント向けサイト。一度作ってしまえば基本的にコンテンツについてのメンテナンスは不要なものを想定します。

②ベーシックプラン

契約期間6カ月以上で立ち上げる企画向け・・・1ドメインのコンテンツ配信。契約期間中はマイナーなセキュリティアップデートへの考慮あり。
1ドメイン、1サブドメイン(テスト用のステージサイト)、2DB、1メールアドレス(オプションで複数のメールアドレス等)

例えば、1年程度のイベントのサイトや新しく立ち上げるマンションの紹介サイトなど向け。この間に、システムに既知のマイナーセキュリティ問題の報告がある場合、Web会社側が契約範囲としてアップデートを実施する。追加開発要望がある場合は、(開発費用は別途請求を前提として)ステージングサイトに既存サイトのコンテンツをコピー、要望変更を加え、テスト運用することが可能。その間、主たるサービスのドメインには影響を与えることなく、継続して一般公開し続けることができることを想定します

③ゴールドプラン

会社サイト、販売製品・サービスサイト向け、かつ、社員向けメールアドレスを必要とする場合向け・・・2ドメイン、2サブドメイン、4DB、20メールアドレス

基本的にベーシックプランを踏襲するが、会社紹介向け "www.会社ドメイン"、そして、販売する製品(サービス)紹介・製品サポート向けの2つのサイトを提供。企業サイトを考慮するため、20名までのメールアドレスの作成を許可することを想定します。 また、さらに細かなニーズを捉えるために多少プラン想定を増やすのは現実的です。そして、いくつかの追加オプションサービスも販売価格と共に考慮してみましょう。

例えば、Webサイトのアプリケーションファイアウォール、メールのアンチウイルス機能等が挙げられます。ただし、プラン、オプションを増やしすぎると、長期的なサービス運用にいろいろな弊害を起こすので気を付けましょう。

Pleskにサービスプランを設定しよう

ここからは、先ほど初回したサービスプランの設定をPleskにどのように落とし込んでいくか説明します。

今回は、ユーザーをPleskに登録して、ベーシックプランが使えるまでのステップを考えます。Plesk用語に置き換えた概要は次のような説明となります。

・顧客と呼ばれるユーザーは、Pleskに契約を登録して初めてPleskのサービスが利用できるようになります。
・契約、サービス内容の詳細は、サービスプランに記されており、今回はベーシックプランの契約内容に従います。
・登録されたユーザーは、契約内容(べーシックプランの設定項目)に沿ったPleskの機能が利用できるようになります。

ここで説明する「Pleskを使える」とは、Pleskにベーシックプランで定義するコンテンツ配信のためのWebサーバー設定・メールサーバーの設定が済み、ユーザーはPleskの管理画面にログインして、許可された範囲でのPlesk設定の変更です。例えば、メールユーザーの登録変更等の作業が可能になることを意味します。

また、今後、Pleskドキュメントを読む機会が増えると、「顧客」「サービス(ホスティング)プラン」「契約」というキーワードが現れるので、Pleskにおける位置づけを理解しておきましょう。

【キーワードの位置づけ】

では具体的に以下の2ステップを経て、ベーシックプランを前提とした顧客情報を設定してみましょう。

【a】サービスプランの作成・・・シンプルプラン、ベーシックプラン、ゴールドプランを事前に作成しておきます。今回はベーシックプランの作成に限った説明をします。

【b】 顧客の登録と契約の作成・・・例として、Web企画をビジネスとする佐々木コンサルティング株式会社が、お団子発祥の地をめぐる企画で"www.odango-banzai.com"のサイト作成を要望したとします。

プランの作成は、Pleskの管理画面を確認しながら操作を説明します。

【a】サービスプランの作成
Pleskに管理者としてログインし、サービスプランの一つ"ベーシックプラン"を登録します。

【a-1】管理者としてログイン後、[ホーム]-[サービスプラン]を選択し、[プランを追加]ボタンをクリックします。

【a-2】このプランに必要なパラメータは次の通りです。
   ・サービスプラン名: ベーシックプラン
   ・ドメイン    : 1個
   ・サブドメイン  : 1個
   ・データベース  : 2個
   ・メールボックス : 1個

しかし、実際の登録画面を確認すると多様なパラメータ入力を促され、どうすべきか悩むところでしょう。

残念ながら、本記事ですべてのパラメータ設定を列挙できないので、ここでは[リソース]、[パーミッション]、[ホスティングパラメータ]といったタブごとの設定方針を紹介します。あくまでも指針です。ご自身のサーバー運用の経験に照らし合わせてパラメータ調整を実施ください。
Pleskドキュメントの説明は、公式サイトをご確認ください。

タブ名設定内容
リソースドメイン、サブドメイン等、ベーシックプランで規定する値を登録。それ以外は基本無制限で設定。
パーミッションすべて選択しない、もしくは、許可しないを設定。基本的にサーバー管理はWeb開発会社が担当するため。
ホスティングパラメータ”ホスティングを有効”はチェック、及び、ウェブサイトのステータスは”アクティブ”。それ以外は基本的にデフォルト値のまま設定。
PHP設定より上位のPHPの選択し、それ以外は基本的にデフォルト値のまま設定。
その他の機能基本的にデフォルト値のまま設定。

【a-3】 [OK]ボタンをクリックすればベーシックプランの登録完了です。サービスプランリストに新しいプラン名が表示されます。

【b】顧客の登録と契約の作成
顧客として佐々木コンサルティング株式会社の登録と共に、ベーシックプランを利用する契約を作成してひもづけます。

【b-1】 [ホーム]-[顧客]を選択し、[顧客を追加]ボタンをクリックします。

Pleskドキュメントの説明は、公式サイトをご確認ください。

【b-2】 示されるフィールドにユーザー情報を入力します。いくつか考慮すべきポイントのみ説明します。

"Pleskのアクセス"で登録するユーザー名は、顧客と呼ばれるユーザーがPleskの管理画面にブラウザでログインする際に必要なログインアカウント情報です。

"契約"の部分で"顧客に契約を作成"をチェックして、同時にサービスプランを割り当てて契約を作成します。ドメイン名等の必要な情報を埋めましょう。ここで入力するユーザー名は、ftpでファイルをアップロードする際に利用するアカウント情報です。

Web作成会社がコンテンツを管理する前提では、先の管理画面のログインする情報を顧客に提供できれば十分でしょう。そして、サービスプランには"ベーシックプラン"を選びます。これで、対象顧客に対して、ベーシックプランで確定する詳細設定の項目がPleskに登録されることになります。

"SSL/TLS証明書で保護"のサイトのHTTPSサポートを有効にするものです。このまま進めると、各種管理メールが顧客のメールアドレスに届くため、ここではチェックせず、(顧客に不要なメールが届かないよう)後で設定して調整しましょう。"GITサポートを有効"はチェックする必要はありません。

【b-3】 [OK]ボタンをクリックして内容に問題がなければ、登録完了です。

登録した"sasaki-consult"でPleskにログインできるか確認してみましょう。一度ログアウトして、ログインフォームに対象のユーザーー名、パスワードを入力、ログイン可能か確かめてみましょう。ログインすると"odango-banzai.com"向けのシンプルな管理画面が現れます。

それでは、Web開発会社として本来注力すべきWebコンテンツの作成、そして、Pleskへの登録、設定調整作業を終え、顧客へのサービスの引き渡しに進みましょう。このあたりの作業は、Pleskを使わないで進めていた作業ステップの方向性は、ほぼ同じかと思います。

さいごに

さて今回の記事は、プランの種類の検討、および、実際にPleskでのサービスプランの設定作業を説明しました。サービスプランという枠組みさえできれば、後は新規顧客の登録は非常に簡単です。前回記事では、1顧客が新規に登録される度に個別パラメータの設定が必要であることを考慮すると、Plesk Pro/Host Editionの機能を使った、より多くの顧客への対応が想定しやすいと思います。

恐らく多くのWeb開発会社においては、WordPressを使ったサービス提供は避けて通れないでしょう。Pleskを使ったホスティングサービスを末永く顧客に利用していただくためにも、日々のアップデート、メンテナンスが重要な顧客サービスの一つになります。

日々進化している Plesk の WordPress ToolKitを賢く使い、アップデートの自動化、ステージングサイトの活用等で、運用の手間を削減しながら多くの顧客サイトと共に、本来のWeb開発に注力して収益アップを図りましょう。GMO クラウドアカデミーで紹介するWordPress Toolkitの記事も参考にしてください。

この記事を書いた人

鈴木隆之

某外資企業のエンジニアです。気がつけばもうシルバー世代。周囲にもっと歳をくってバリバリ働いている人ばかりで、がんばらないといけないですね。

GMOクラウドアカデミーYouTubeチャンネルはこちらから

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