2016.07.13

サポート力もサービス力!障害対処にみるファイルサーバーとオンラインストレージの違い

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こんにちは。フリーエンジニアの木下です。

オンラインストレージを使用すると、ファイルサーバーに使用するハードウェア&ソフトウェアをアウトソースできるため、構築&運用の苦慮から解放されます。
ですが、採用しようとしているオンラインストレージは大丈夫でしょうか?

■ユーザーから遅い・つながらないと言われた時のアクション

ファイルサーバーが遅い・つながらないと言われた場合には、「ネットワークが遅いのかorサーバーの内部で遅くなっているのか」を切り分けたうえで、必要な対処を実施することになります。
問題を切り分けするために、PCとサーバー間の接続を確認することが必要になります。また実際に遅い・つながらないPCやサーバーに問題はないか挙動を確認する必要もあります。

例えばネットワーク(途中の経路)がボトルネックや障害の要因になっているのであれば、対象となっているネットワーク機器に対して対処を行いますし、サーバーの内部で遅くなっているのであれば、チューニングや設定変更といったソフトウェア的に解消したり、実際にサーバーの部品を見直してより速度を稼ぐことができる部品に交換したり、故障しているのであれば故障部品を交換したりすることで、結果として「速度を向上させる」「つながるようにする」という対策を完了させることができます。

これらの手を尽くすもリプレイスを実施しなければならなくなった場合、既存ファイルサーバーではそれほどのランニングコストが掛かっていないことが多く、長期的計画で段階移行を進めていくことも可能です。

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つまり自社ファイルサーバーであれば何事においても、いくつかの選択肢が用意されており、速度の向上が容易なこともあれば、最悪リプレイスとなっても段階的に移行することが現実的であるケースが多くあります。

しかし、オンラインストレージにおいて発生した場合には、サービスの解約と別のサービスの契約、および解約サービスから新規契約サービスへのデータ移行を実施する必要があり、これ以外の選択肢がない、ということが多いです。

しかも段階移行をしたい、と考えた際にハードルとなるのが、新旧オンラインストレージ利用料の二重課金です。ファイルサーバーを所有していると、既存ファイルサーバーの費用は考慮外となることは多いのですが、オンラインストレージにおける利用料は解約まで不変となるのでユーザー数によっては段階移行という選択肢は(ユーザー企業が)法外(に感じる)な費用を支払う必要が出てきます。

■障害対処の時にサーバーOSにログインしませんか?

障害発生時にはファイルサーバーに対してログインして状態の確認を実施します。つまりダウンしている箇所を特定するために、直接ファイルサーバーのサーバーOSにログインして状態確認することが手っ取り早いことが多いです。

しかし、オンラインストレージを利用するということは「サーバーOSにログインすることができない」ということが多いです。オンラインストレージはストレージというディスクスペースを貸し出すサービスなので、サーバーOSで直接動作の確認ができるというわけではないです。

自分でサーバーOSの確認ができない以上は、オンラインストレージの障害時に頼るのは、問い合わせ窓口とサポートの技術力です。
ですが、この問い合わせ先窓口となる連絡先がメールしかないこともあります。
グローバル展開がされているサービスであれば、海外へメール送信しなければならないこともあります。
特に無料のオンラインストレージではこの障害対処のためのサポートが「無料ゆえの緩さ」となることも顕著な傾向です。

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■データ損失のリスク

社内ファイルサーバーであれば広帯域のイーサネットやバスの帯域を利用して日々のバックアップを取得するのはオンラインストレージよりは容易です。
オンラインストレージでのデータバックアップは、ユーザー企業が主体的にバックアップを取得しなければならないか、あるいはサービスを提供する側でバックアップを取得しているか、は地味ですが重要な点として考慮したいポイントです。

たとえクラウドサービスであっても万が一に備え、「クラウドサービスであってもバックアップを実施する」ということは非常に重要となりますが、オンラインストレージのバックアップは容易ではありません。

障害時に万が一のデータ損失が許容されないデータを保管するのであれば、オンラインストレージのサービスを提供する側でどういったバックアップを取得しているかを確認し、障害によるデータ損失にはどのような想定でサービスを利用することになるのか、は契約者自身で選定する必要があります。

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■総じて問い合わせ先・信頼できるサポートがあるかどうか

海外発のサービスやフリーミアムで展開されているサービスではよくあることなのですが、サポートをあてにコンタクトを取ってもなしのつぶてだったり、「ご意見は今後のサービスの向上に役立てておきます。」くらいの温度感だったりと、必ずしもサポートサービスが我々ユーザー企業側の利にならないサービスは、ある一定数存在しています。

グローバル展開のサービスでは英語でのメール送信が必須であるところがありますが、英語で確実にニュアンスまでを含めて伝えて、かつサポート側からの説明を読み取るにしても英語の文面を読まなければならない、というのはそれなりの英語力を要求されます。
ですが、国内でサービス展開をしている企業相手であれば、電話で日本語のサポートを受け付けてくれますし、日本語でメールを作成して送信しても日本語で丁寧な説明を返してくれます。

社内サービスとはいえビジネス利用で契約を実施するのですから、不具合や分からないことへの問い合わせは迅速かつ正確に解決したい、と思うのがやはりシステム管理者だと思います。もしその通りだ、と同意が得られるようでしたら選定の際の選定条件の一つとして、「日本語による問い合わせ/サポート窓口が設置されているか」「電話・メールによる24時間365日の問い合わせ窓口があるか」といった点にも着目されることをお勧めしたい点の一つです。

今回の内容は、特に専任のシステム管理担当者が設置されていない、あるいは兼任が多くて本来のシステム管理業務を負荷の軽減を行いたい中小企業の担当者の方に、特に考慮していただきたい事項です。こういった企業環境では無料や安価なサービスに流れがちですが、専任の担当者が集中できないからこそ信用のおけるサービス提供者を選定する、という視点をぜひご再考いただくことをお勧めします。

この記事を書いた人

木下肇

東京/神奈川を中心に、都内中堅企業ではシステム部門の一員として部内インフラ業務に、別の小規模企業ではインフラ全般について管理業務の委託を受けるフリーエンジニア。オンプレミスの企業内インフラからクラウド環境のサーバ/ネットワークまで、OS守備範囲はWindowsからLinuxまで、障害の診断や修復/修理であればソフトからハードまで、幅広い守備範囲で日々お客様の業務を遂行しています。
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