2016.02.08

スマホでPCメールを受け取るには?IMAPやWebメールの違いを知ろう

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技術ナレッジ
タグ
メールサーバー

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Ⅰ.WebメールかIMAPか

こんにちは。フリーエンジニアの木下です。
前回ご紹介したiCLUSTA、2015年からIMAP形式のメール送受信が標準機能として提供されたのをご存知でしょうか?
私の周囲でもiCLUSTAでIMAP形式を利用することになりました。
きっかけはあるユーザからの要望が発端です。
「せっかく会社貸与のスマートフォンがあるのだから、会社のメールをスマホで閲覧できないのですか?Webメールでもいいですよ。」
という問い合わせから始まりました。

社内では外出が多い社員に対して会社携帯としてスマートフォンを貸与しています。
PCのモバイル環境も整ってはいるのですが、電車での移動中や電車・バスを待つ隙間時間を活用してメールの確認となると、PCをわざわざカバンから取り出してメールチェックは少々大仰な感覚です。
せっかく会社貸与となっているスマートフォンがあるのだからやはりこれを活用したい、と考えるのはユーザとしては自然な方向性です。
隙間時間でサッとポケットから取り出しメールのチェックをしたい、ということです。
スマートフォンを開けば電話の着信も確認するのだから同じ画面でメール&電話という自分自身に対してきたコンタクトがスマホ一画面で俯瞰できる、という点、ユーザの利便性を考えると合理的です。


Ⅱ.WebメールよりIMAPの理由

2014年までのiCLUSTAにおけるメール環境ではPOP受信か付随するWebメール(C@tchmemail)しか利用できなかったのですが、2015年春からIMAPが利用できるようになりました。
冒頭のユーザの言葉にあるように使い慣れたWebメールという選択肢は真っ先に挙がったのですが、検討の結果これは不採用になり、IMAPを採用することになりました。

理由1:Webメールでは地下鉄の走行中や郊外・工場地域などの圏外ではメールの閲覧ができない点で、IMAPを採用すれば携帯でいったん受信したメールデータは閲覧時に圏外であっても閲覧が可能です。

理由2:Webメールはブラウザを起動し、メール画面にアクセスしなければ新着メールの存在を知ることができないのです(プル型)が、IMAPはメールアプリに設定しておけば新着メールとして受信(プッシュ型)できます。よって、画面を見るだけで電話の着信と同様に新着メールの存在を知ることができます。
スマートフォン画面の通知バーや通知画面に電話と新着メールが同時に表示される点が決め手となりました。


Ⅲ.IMAP形式とPOP形式の違いとは?

iCLUSTAで使えるIMAP形式のメール環境と昔から利用しているPOP形式のメール環境との違いはなにかを図を元に簡単にご説明します。

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社外からメールを受信すると、まずは社内のメールサーバーがそのメールを受け取ります。ちょうど郵便局の局留めのようなイメージです。
POP形式でメールを受信し閲覧する場合には、局留めにした電子メールを取り寄せて、パソコン上のメールソフトに移動します。これがメール受信です。メールの受信を実行するとパソコンへメールをダウンロードし、サーバーからは(原則)削除されなくなります。
こうしてパソコンに電子メールを閲覧することができます。

一方のIMAPの場合には、データの持ち方が逆転します。
局留めにしたメールデータ(マスタデータ)は原則サーバーの私書箱に保管され、各デバイス上のメールソフトはサーバーに保管されたメールを逐次確認することで新着メールを取得します。よってデータはサーバー上にずっと残されているため、どのデバイスでメールを操作しても同一のメール環境を維持することができます。

このため以下のような違いがあります。

POP形式のメリットや特徴

サーバーからメールをダウンロードするPOP形式では、手元のパソコンでメールを閲覧したり整理したりを通信不要で実行可能なため、インターネット接続はメールを受信する一瞬しか要しません。このため外出先、地下の電波が届かない場所、新幹線や飛行機などの高速移動中であってもあらかじめ受信したメールであれば閲覧可能であることが最大のメリットです。また、サーバーにメールを残さないため、サーバーの負荷(コスト)も低減されます。

電子メールの受信方式としては一般的な形式なのでどのサービスでも利用可能、という特徴もあります。ただしPOP形式で受信したメールはパソコンで受信され、受信したパソコン以外では閲覧できません。

IMAP形式のメリットや特徴

IMAP形式で受信したメールはサーバーに蓄積した電子メールを設定されたメールソフトから逐次参照する方式なので、設定をしたすべてのデバイスから同一のメール環境を閲覧することができることが最大のメリットです。

例えば、複数の事務所に設置された別々のPCで自身のメールを送受信する場合や、何台ものPC・スマホ・タブレットを使い分ける場合、いずれかの機器で閲覧すればどこで閲覧しても既読になります。またメールの送信履歴もすべての機器で同一の送信履歴を管理できます。

電子メールの受信方式としてはPOP形式より普及しているとは言い難い面がありますのでIMAP形式が使えないメールサービスも多いです。また複数のデバイス(PC・スマホ・タブレット)が同一のメール環境を参照するためには、インターネット接続が必須となりますので利用中は常時通信が発生します。

このようにIMAPは1人で2台以上のデバイス(PC・スマホ・タブレット)を利用する場合において、非常に利便性の高いメール環境を提供することができます。


Ⅳ.他にもあるもう1つのIMAP形式の有効活用

これまでで、1人複数デバイスを使い分けて同一のメール環境を使いこなす構成について説明してきました。
もう1つのIMAP形式の有効活用の形として、複数人で1つのメールアドレスを利用する場合でも新たな利便性を提供できるのがIMAPのメール環境です。

企業内ではコールセンターやWebフォーム経由でのメール受信における業務では、複数の担当者が利用するメールアドレス(例えばinfo@hoge.co.jpのような特定の人物ではないアドレス)を利用している環境です。
おおむね、複数の担当者で利用するアドレスは「メールをサーバーに残す」設定にして各々が受信し、送信時にはCCやBCCに共有メールアドレス(例えばinfo@hoge.co.jp)を入れるようルール化することで複数の担当者同士で同じメールデータを共有する、というケースが多くあります。
これですと、ヒューマンエラーが発生しない前提での運用になります。すなわち操作ミスや抜け漏れが発生しない前提での運用なので人に依存したメール環境となります。
IMAPはこの手間を不要にし、リスクを軽減することが可能です。

その方法は、共有メールアドレス(例info@hoge.co.jp)をIMAP形式で全担当者のメーラーに設定してしまえば、受信メールは単一の受信トレイに、担当者の誰かが送信したメールは送信トレイに、不要なメールの削除は担当者の誰か1人が実施すれば全員が不要なメールを排除できますし、メールのフォルダ振り分けも担当者の誰か1人がルールを決めて振り分けを設定するだけで、担当者の環境全員が整理された状態でメールを利用することができるようになります。
つまり、共有メールアドレスを利用する複数の担当者が、各々のPC上で実施するメーラー設定を1名の管理者が実施することで担当者全員のメール設定が整理された状態にできる点においてIMAPを導入することは時間の短縮になります。

以上、IMAP形式によるメール環境を利用する際のメリットをまとめてみました。
ご利用のメールサーバーにIMAP対応がなされているようでしたら、非常に便利なIMAP形式を検討されてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

木下肇

東京/神奈川を中心に、都内中堅企業ではシステム部門の一員として部内インフラ業務に、別の小規模企業ではインフラ全般について管理業務の委託を受けるフリーエンジニア。オンプレミスの企業内インフラからクラウド環境のサーバ/ネットワークまで、OS守備範囲はWindowsからLinuxまで、障害の診断や修復/修理であればソフトからハードまで、幅広い守備範囲で日々お客様の業務を遂行しています。
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