AWS請求代行サービスのデメリットとは?AWS請求代行サービスのデメリットをご紹介いたします。AWS請求代行サービスを導入検討する上で、デメリットとなり得るポイントを把握しておきましょう。
目次
「AWS請求代行サービスのデメリット」をあえて挙げるとしたら、以下の点でしょう。筆者は、AWS請求代行サービスのメリットがデメリットを上回ると考えますが、本当にデメリットなのかは、当記事を読んで、ご自身でよくご判断ください。AWS請求代行サービスのデメリットは、主に5点あげられます。
- ・AWS 無料利用枠を使えない
- ・AWSの一部のサービスが利用できない
- ・サポート利用時のタイムロス
- ・機密情報漏えいのリスク
- ・AWSパートナーの事業継続性
AWS無料利用枠を使えない
多くのAWS請求代行サービスでは、AWS無料利用枠を使えません。AWSをはじめて利用する方、AWS無料利用枠を適用可能なAWSアカウントをご利用中の方には、デメリットに成り得ます。
AWS無料利用枠は、あくまでAWSをお試し利用してみたいといった方向けの便利な仕組みです。無料利用枠を使う場合と、AWS請求代行サービスを最初から使う場合のコストや条件比較をして、自社にとって良い選択肢を選ぶとよいでしょう。無料利用枠を使い果たした後からでも、AWS請求代行サービスを導入することもできます。
AWS無料利用枠の詳細は、こちらの記事でご紹介しています。
<AWS入門> AWS請求代行で「AWS無料利用枠」は使えるの?
AWS無料利用枠を優先すべきかどうか、判断がつきにくい場合、AWS請求代行サービスの提供事業者であるAWSパートナーに相談することをおすすめいたします。AWSパートナーとは、AWS パートナーネットワーク (APN) の参加条件を満たし、AWSによって公式に認定を受けた法人を指します。
AWSの一部のサービスが利用できない
AWS請求代行サービスのデメリットとして、AWSと直接契約時には使えるサービス/機能をご自身で使えなくなることがあります。とはいえ、大半のケースでは、代替手段が用意されているようです。
ルートユーザーのアカウントの管理
AWSには、2種類のユーザーがあります。アカウント所有者となるルートユーザーとAWS Identity and Access Management (IAM) ユーザーです。AWS請求代行サービスを契約すると、大半の場合、ルートユーザーのアカウントはサービス提供元であるAWSパートナーが管理します。AWSパートナーが必要な権限が付与されたIAMユーザーを用意してくれますので、IAMユーザーでAWSを利用することになります。
ルートユーザーのアカウントを託すことで不安を覚えるかもしれませんが、AWSはIAMでのセキュリティのベストプラクティスを推奨しています。
IAMユーザーでは、AWSの利用制限や権限開放などの申請といったお手続きをご自身では行えません。とはいえ、実際は「やり方が変わる」だけです。AWSの利用制限や権限開放を希望する場合、AWSパートナーに依頼します。AWSパートナーがお手続きを速やかに代行してくれます。サクッと任せて、効率的に業務遂行しましょう。
AWS利用料の照会
「今月の利用料は、どれくらいだろう?」
AWS利用状況や利用料は、AWSパートナーに連絡すれば、教えてくれます。また、AWSパートナーが独自の管理画面を提供しているのであれば、ご自身でも照会できます。AWS利用料、請求書、その他の請求に関するお問い合わせなども気軽に相談できるので、むしろ利便性はあがるでしょう。
AWSからのメール
AWSのメンテナンス、サービスアップデート、新製品やイベントなどの各種メールは、AWSアカウントのルートユーザーとして登録したメールアドレス宛てに届きます。こういったメールによる最新情報をどのように得られるのか、AWSパートナーに聞いてみましょう。AWSパートナーが管理画面を提供しているのであれば、管理画面内で情報を得られることもあります。
こちらは、あくまで一部の事例です。
各社のAWS請求代行のサービス内容によって、「できないこと」「やり方が変わること」は異なりますので、直接相談してみることをおすすめいたします。
サポート利用時のタイムロス
AWSと直接契約する際は、AWSのサポートへお問い合わせを行い、ご自身で問題解決を図る必要があります。サポート時間や応対時間、サポート内容や連絡手段は、契約するサポートプランによって異なります。一番下位のサポートプランでは、サポートを受けられるのは営業時間内となっています。また、連絡手段は、メールのみです。
>> AWS サポートプラン
AWS請求代行サービスを利用すると、AWSのサポートプランを契約する必要はありません。AWS請求代行サービスには、AWSパートナーによる無料サポートが含まれます。このため、サポートプランの料金を節約できます。
AWS請求代行サービスを利用すると、AWSではなく、AWSパートナーへ問い合わせます。そのため、AWSパートナーが指定した方法(例:backlog、slackといったツール、お問い合わせフォーム)でお問い合わせを行う必要があります。
AWSパートナーを間に挟んでAWSへ問い合わせることでタイムロスを心配される場合もあるようですが、AWSパートナーはAWSに精通した技術集団です。AWSのサポートに問い合わせることなく、AWSパートナーが即答してくれるケースは多々あります。
また、AWSパートナーになると、AWSの担当さんがアサインされます。AWSによるAWSパートナーへの支援体制はとても充実しているので、ご自身だけで問題解決に挑むより、AWSパートナーと連携することで迅速に問題解決できることがあります。
機密情報漏えいのリスク
AWS請求代行サービスを使うデメリットとして、機密情報漏えいのリスクがあります。AWS請求代行サービスでは、AWSパートナーがAWSアカウントを管理します。そのため、理論上では、AWSの利用状況やシステムに関する諸情報にアクセス可能となります。
AWS請求代行サービスというより、会社間取引に伴うデメリットといえるでしょう。法人間の取引では、秘密保持契約(NDA)や契約書の守秘義務事項で情報漏えいのリスクヘッジを図れますが、あえて追加対策を練るとしたら、信頼性の高いAWSパートナーを選定することが大切です。AWSパートナーが、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)といった第三者認証機関による認証を取得しているか、コンプライアンス(法令順守)を順守する社内体制の整備・運用(例:四半期に一度、全社でコンプライアンス研修を実施)が徹底しているか、確認しておきましょう。
AWSパートナーの事業継続性
最後にAWS請求代行サービスのデメリットとして、AWSパートナーの事業継続性をあげておきます。こちらも、AWS請求代行サービスに限らず、一般的な会社間取引において考慮すべきリスクだといえます。
AWSアカウントを管理するAWSパートナーが業務委託先としてふさわしいか、企業の財務状況や以下の点を確認しておきましょう。
- ・創業からの年数
- ・事業内容
- ・資本金
- ・従業員数
- ・株式上場の有無、株式市場の種類
- ・BCP対策
AWS請求代行サービスではなく、異なるサービスの話ですが、サービス事業者が倒産して、サーバー上のデータへアクセスできなくなったという事例は過去に何度も見てきました。そういったリスクもあるということです。
まとめ
さて、AWS請求代行サービスのデメリットをご紹介しました。AWS請求代行サービスの導入を断念するほどクリティカルなデメリットはなかったのではないでしょうか?
とはいえ、AWS請求代行サービスをクライアントに提案する際、または社内導入の決裁を得る上で、事前に導入に伴うリスクを把握し、リスクに応じた対策を理解しておくことは大切です。当記事では、デメリットとデメリットへの懸念を払しょくする情報をご紹介しました。
メリット・デメリットについて詳細な情報を確認するには、商談経験豊富なAWSパートナーへ相談してみることをおすすめします。情報収集や商談の過程で気になった点は、営業担当に何でも聞いてみましょう。
当社が運営する「CloudCREW byGMO」では、初期費用0円、月額費用0円でお支払額の割引を適用する「AWS請求代行サービス」をご用意しています。メリット・デメリットの詳細、そしてAWSのコスト削減に興味がある方は、メール、対面/電話/Zoom等による無料相談窓口をご用意していますのでお気軽にご相談ください。
当記事におけるAWS請求代行サービスの仕様は、AWSパートナーの公式サイト(「AWS請求代行」で検索した際に上位表示される10社)で掲載されている情報をベースにまとめられています(2023年4月時点)。AWS請求代行サービスの仕様は各社で異なりますので、それぞれの公式サイトで最新情報をご確認ください。
- 参考文献
初回掲載日:2022年6月8日 更新日:2023年4月1日
- 監修
- GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営するCloudCREW byGMOでご紹介する記事は、AWSなど主要クラウドの認定資格を有するエンジニアによって監修されています。