IoTに関して学んできたこの「おしえてイオティ」シリーズは、IoT(Internet of Things)のコンサルタントが4人で、IoTの導入時に必要となる知識やノウハウについてお話しました。最終回となる第10回はその総まとめとして、改めてIoTの振り返りを実施したいと思います。
IoTにおける知識エリア
*で記載の内容は、当連載の何回目でお話したかを示しています。
(1)戦略とマネジメント
*第3回:失敗しない!IoTの取り組みにおける3つの法則とは?
*第4回:自社でIoTプロジェクトの推進がうまくいかない5つの壁とは?
①企画・戦略
②プロジェクトマネジメント
(2)産業システムと標準化
*第2回:IoTでなにがどう変わる?企業がIoTに取り組むべき理由
*第1回:IoTとは?IoT初心者向けにわかりやすく解説!(後半部分)
①IoT関連の産業システム
②世界各国におけるIoTプロジェクトに関する知識
③標準化に関する知識
(3)法律
①通信関連の法律に関する知識
②製造および航空法等に関する知識
③ライセンス、知的財産に関する知識
(4)通信/ネットワーク
*第7回:IoT無線の現状と展望
①データ送信プロトコル
②WAN(インターネット接続)
③PAN(Personal Area Network)
(5)デバイス
*第1回:IoTとは?IoT初心者向けにわかりやすく解説!(中盤部分)
①制御装置
②電子工学
③センサー技術
*第6回:IoTとセンサーの種類~そもそもどのようなセンサーがあるの?
④スマートフォン
(6)プラットフォーム
*第5回:IoTを構成する基本の技術要素(後半部分)
①クラウド
②分散処理
③データ処理
(7)データ分析
*第5回:IoTを構成する基本の技術要素(後半部分)
①データベースに関する知識
②機械学習および人工知能に関する知識
(8)セキュリティ
*第8回:セキュリティ対策はできていますか?-IoTが抱えるセキュリティの課題-
①暗号化
②攻撃対策
③認証技術
④監視・運用
上記の様な多岐にわたるIoTの知識エリアですが、あえて一番重要な項目はどれかと聞かれたら、私は(7)の「データ分析」と答えます。当項目以外も重要な項目が多数ありますが、企業(組織)にとっても、個人にとっても「データ分析」は最重要だと思うのは、下記の理由があるからです。
・データ駆動型社会は目の前に来ており、全ての担当者に「データ分析」の基礎知識は必須である。
・企業(組織)においてビジネスの付加価値創出、業務改善を実施しようとすると、企業(組織)内に高度なデータサイエンティストが必要である。
・上記の状況のため、データサイエンティストの需要は非常に大きく、キャリアアップする手段としては最適である。
注)データサイエンティストとは、データを分析し、分析結果を基にビジネスへの貢献を実現する職業。近年、ビッグデータの活用の重要性と共にデータサイエンティストが注目されています。
先ほど、“データ駆動型社会は目の前に来ており、全ての担当者に「データ分析」の基礎知識は必須である。”と記載しました。それでは、「データ分析」の基礎知識とはどのようなものでしょうか? 私は下記の内容等を含むと考えます。
・相関分析や回帰分析
・相関関係と因果関係の違い
・Pythonライブラリーを使ったクラスタリングやクラス分類
・クラスタリングとクラス分類の違い
・下記のAIプラットフォームを使った機械学習
プラットフォーム名・・・主な内容
Amazon AWS・・・ 機械学習/視覚/言語/チャット
Microsoft Azure・・・機械学習/視覚/音声/知識/検索/言語
Google AI・・・ 機械学習/動画分析/画像分析/音声認識/テキスト分析/翻訳
IBM Watson・・・ 機械学習/会話/画像/音声/言語/トーン
また、データベース技術者においても、IoTにおいては従来のRDB(Relational Database)のSQL技術ではなく、テキストデータや画像などに対応するNo-SQL DBの技術が必要になってきます。
さらに、データサイエンティストには、下記のスキルが必要となります。
・業務の分析技術
・問題の把握能力
・統計学や機械学習のスキル
・IT全般の能力
・新たな知見を発見できる能力
・結果をわかりやすく説明できるスキル(含む説得力)
・プロジェクトマネジメントスキル
以上のように、「データ分析」にかかわる知識エリアやスキル領域は、IoTやビッグデータの進展とともに変化しており、今後、全ての担当者に必要な基礎知識もますます拡大していくでしょう。IoT (Internet of Things)やAI(人工知能)やBD(ビッグデータ)が当たり前となる5年後、10年後においては、さらに「データ分析」の内容も変化していくでしょう。この変化を常に意識することが重要です。
おわりに
現在のIoT(Internet of Things)の流れは、単なるブームではありません。この波に乗り遅れると、企業の存続に関わると言ってもいいと思います。また、データ分析などIoT社会に必要なスキルを身につけていない担当者も淘汰されます。
最後に、私たちのコラムが少しでも皆さまのお役に立てたなら幸いです。また、お会いできる日を楽しみにしています。