2018.06.19

IoT(Internet of Things)で一番重要なことは?

難易度
2
カテゴリー
IoT関連

mainIoT10

IoTに関して学んできたこの「おしえてイオティ」シリーズは、IoT(Internet of Things)のコンサルタントが4人で、IoTの導入時に必要となる知識やノウハウについてお話しました。最終回となる第10回はその総まとめとして、改めてIoTの振り返りを実施したいと思います。

IoTにおける知識エリア

*で記載の内容は、当連載の何回目でお話したかを示しています。

(1)戦略とマネジメント

*第3回:失敗しない!IoTの取り組みにおける3つの法則とは?
*第4回:自社でIoTプロジェクトの推進がうまくいかない5つの壁とは?
①企画・戦略
②プロジェクトマネジメント

(2)産業システムと標準化

*第2回:IoTでなにがどう変わる?企業がIoTに取り組むべき理由
*第1回:IoTとは?IoT初心者向けにわかりやすく解説!(後半部分)
①IoT関連の産業システム
②世界各国におけるIoTプロジェクトに関する知識
③標準化に関する知識

(3)法律

①通信関連の法律に関する知識
②製造および航空法等に関する知識
③ライセンス、知的財産に関する知識

(4)通信/ネットワーク

*第7回:IoT無線の現状と展望
①データ送信プロトコル
②WAN(インターネット接続)
③PAN(Personal Area Network)

(5)デバイス

*第1回:IoTとは?IoT初心者向けにわかりやすく解説!(中盤部分)
①制御装置
②電子工学
③センサー技術
*第6回:IoTとセンサーの種類~そもそもどのようなセンサーがあるの?
④スマートフォン

(6)プラットフォーム

*第5回:IoTを構成する基本の技術要素(後半部分)
①クラウド
②分散処理
③データ処理

(7)データ分析

*第5回:IoTを構成する基本の技術要素(後半部分)
①データベースに関する知識
②機械学習および人工知能に関する知識

(8)セキュリティ

*第8回:セキュリティ対策はできていますか?-IoTが抱えるセキュリティの課題-
①暗号化
②攻撃対策
③認証技術
④監視・運用

上記の様な多岐にわたるIoTの知識エリアですが、あえて一番重要な項目はどれかと聞かれたら、私は(7)の「データ分析」と答えます。当項目以外も重要な項目が多数ありますが、企業(組織)にとっても、個人にとっても「データ分析」は最重要だと思うのは、下記の理由があるからです。

・データ駆動型社会は目の前に来ており、全ての担当者に「データ分析」の基礎知識は必須である。
・企業(組織)においてビジネスの付加価値創出、業務改善を実施しようとすると、企業(組織)内に高度なデータサイエンティストが必要である。
・上記の状況のため、データサイエンティストの需要は非常に大きく、キャリアアップする手段としては最適である。

注)データサイエンティストとは、データを分析し、分析結果を基にビジネスへの貢献を実現する職業。近年、ビッグデータの活用の重要性と共にデータサイエンティストが注目されています。

先ほど、“データ駆動型社会は目の前に来ており、全ての担当者に「データ分析」の基礎知識は必須である。”と記載しました。それでは、「データ分析」の基礎知識とはどのようなものでしょうか? 私は下記の内容等を含むと考えます。

・相関分析や回帰分析
・相関関係と因果関係の違い
・Pythonライブラリーを使ったクラスタリングやクラス分類
・クラスタリングとクラス分類の違い
・下記のAIプラットフォームを使った機械学習

 

プラットフォーム名・・・主な内容
Amazon AWS・・・  機械学習/視覚/言語/チャット
Microsoft Azure・・・機械学習/視覚/音声/知識/検索/言語
Google AI・・・  機械学習/動画分析/画像分析/音声認識/テキスト分析/翻訳
IBM Watson・・・  機械学習/会話/画像/音声/言語/トーン

 

また、データベース技術者においても、IoTにおいては従来のRDB(Relational Database)のSQL技術ではなく、テキストデータや画像などに対応するNo-SQL DBの技術が必要になってきます。

さらに、データサイエンティストには、下記のスキルが必要となります。

・業務の分析技術
・問題の把握能力
・統計学や機械学習のスキル
・IT全般の能力
・新たな知見を発見できる能力
・結果をわかりやすく説明できるスキル(含む説得力)
・プロジェクトマネジメントスキル

 

以上のように、「データ分析」にかかわる知識エリアやスキル領域は、IoTやビッグデータの進展とともに変化しており、今後、全ての担当者に必要な基礎知識もますます拡大していくでしょう。IoT (Internet of Things)やAI(人工知能)やBD(ビッグデータ)が当たり前となる5年後、10年後においては、さらに「データ分析」の内容も変化していくでしょう。この変化を常に意識することが重要です。

 

おわりに

現在のIoT(Internet of Things)の流れは、単なるブームではありません。この波に乗り遅れると、企業の存続に関わると言ってもいいと思います。また、データ分析などIoT社会に必要なスキルを身につけていない担当者も淘汰されます。

最後に、私たちのコラムが少しでも皆さまのお役に立てたなら幸いです。また、お会いできる日を楽しみにしています。

この記事を書いた人

高安篤史

合同会社コンサランス 代表、中小企業診断士、サートプロ IoT技術講師
早稲田大学理工学部工業経営学科卒業後、大手電機メーカーで20年以上にわたってストレージ製品などの組み込みソフトウェアの開発に携わり、プロジェクトマネジャー/ファームウェア開発部長を歴任する。

自身の経験から「真に現場で活躍できる人材」の育成に大きなこだわりを持ち、その実践的な手法は各方面より高い評価を得ている。DFSS(Design for Six Sigma)に代表される信頼性管理技術/プロジェクトマネジメントやIoT(Internet of Things)のビジネスモデル構築に関するコンサルタントとしての実績やハイスキル人材の育成にも定評がある。2012年8月合同会社コンサランスを設立し、代表に就任。

• 中小企業診断士:神奈川県中小企業診断協会所属
• 情報処理技術者(プロジェクトマネジャー、応用情報、セキュリティマネジメント)
• IoT検定制度委員会メンバー
詳しくは、こちら 

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