2021.04.14

【正式版情報反映】CentOS Linux 8の代替OS候補!AlmaLinuxをご紹介!

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おしえてアカデミー!

ALMA1

※本記事は、2021年3月末にリリースされたAlmaLinuxの正式版の情報を反映した内容になっています。

2020年末にCentOS ProjectがCentOS Linux 8を2021年末に終了するという発表を行ってからCentOS Linux 8の替わりをどうしようと悩まれている方も多いと思います。

CentOS Linux 8の代替候補の一つとして、20213月末に正式版が公開されたAlmaLinux(読み方:アルマリナックス)についてご紹介します。

目次
・ CentOS Linuxの終了と代替OSについて
・AlmaLinuxとは
・AlmaLinuxのサードパーティー対応状況について
・AlmaLinuxの入手とインストール方法について
・CentOS Linux 8からAlmaLinuxへの切り替えツールについて
・AlmaLinuxの総評
・最後に

 CentOS Linuxの終了と代替OSについて

昨年12月にCentOS ProjectがCentOS Linux 8を2021年末に終了し、今後はCentOS Streamに注力すると発表しました。

CentOS Linuxは、実績のある有償ディストリビューションのRHEL(Red Hat Enterprise Linux)のソースコードを元に、商権や有償アプリケーションを除いて無償利用できるようにしたRHELクローンで、無償かつ安定動作や長期間の修正パッチ更新を望むユーザーに広く使われていました。

しかし、最新版のCentOS Linux 82021年末で終了することになり、1つ前のCentOS Linux 7には変更はありませんが20246月で終了するため、CentOSを利用しているユーザーには大問題です。

この問題の詳細はこちらの記事で紹介しています。

この問題で厄介だった点は、発表時点でCentOS Linuxの代替となるディストリビューションについてどれも決め手に欠けていたことです。

CentOS Projectが今後注力するCentOS Streamは、CentOS Linuxの元になっているRHELの開発版という位置づけのディストリビューションでサポート期間も短くなっています。このため、安定動作や長期間の修正を望んでCentOS Linuxを利用していたユーザーには、使いにくいディストリビューションとなっています。

一方で、CentOS Linux以外の既存のRHELクローンについては、CentOS Linuxのシェアが圧倒的すぎたため、他のRHELクローンは知名度やサードパーティーなどのサポート状況などの点で劣っていることもあり、今すぐ代替として使うには決め手に欠けていました。

また、既存のRHELクローンにはRHELをベースに独自のカスタマイズを加えているものもあり、CentOS Linuxと同様のシンプルなRHELクローンが欲しい場合に適さない場合もあります。

Red Hat社も開発者向けプログラムを拡充し無償でRHELを利用可能な範囲を広げましたが、これもCentOS Linuxの利用用途の全ての代替になるものではありません。

RHELクローン以外に目を向ければ、Ubuntuなど長期間のサポートがあるディストリビューションもありますが、RHEL系のディストリビューションとはコマンド体系や構成が違うため、今までCentOS Linuxを利用していたユーザーにとっては移行の手間が無視できません。

このような状況のため、昨年末からCentOS Linux 8の代替を目指したRHELクローンを作るプロジェクトがいくつか発表されています。AlmaLinuxは、その中でも有力視されているものの一つとなります。

 AlmaLinuxとは

AlmaLinuxとは、CloudLinuxが主導して開発している無償利用可能なRHELクローンです。

AlmaLinuxを主導しているCloudLinux社は、元々RHELなどをベースとしたCloudLinux OSというLinuxディストリビューションを有償で提供していて、このディストリビューションはクラウド・ホスティング分野で広く使われています。

CloudLinux社がCentOS Linuxの代替を目指して新たに立ち上げたコミュニティで開発しているRHELクローンがAlmaLinuxとなります。

AlmaLinuxの特徴 

AlmaLinuxの特徴として、以下があげられます。

* 無償で利用可能なRHELクローン
* 2029年までのサポート
* 利用中のCentOS Linux 8環境をAlmaLinuxに切り替えるツールを提供
* RHELなどをベースとしたディストリビューションで実績があるCloudLinux社が主導
* 開発スピードが速い 

AlmaLinuxは、無償で利用可能なRHELクローンでRHEL8以降と1:1のバイナリ互換があります。このためCentOS Linuxと同様の利用が可能です。

サポート期間についてもRHEL8のクローンに相当する最初のリリースはRHEL8と同様の2029年までサポートされます。

既にCentOS Linux 8を利用中のユーザーの乗り換えも想定し、CentOS Linux 8環境をAlmaLinuxに切り替えるツールを公開しています。

RHELに関するノウハウを多く持つCloudLinuxの強力な支援があるためAlmaLinuxの開発は早く、約4ヵ月間で正式版の公開にたどり着きました。今後のバージョンアップやバグ修正も早期対処が期待できそうです。また、AlmaLinuxの開発やコミュニティ活動を取りまとめる非営利団体も設立され、今後の体制も整ってきています。

正式版の公開後の予定も一部発表されており、今後はセキュアブート対応やARM64アーキテクチャ対応などが行われるようです。また、RHEL 8.4beta版が公開されたらすぐにAlmaLinux 8.4の準備も始まる予定です。

【2021/5/31追記】----
5月末にAlmaLinux 8.4が公開され、セキュアブートにも対応しました。ARM64版もβ版の公開が行われています。
RHEL 8.4の公開から8日程度でAlmaLinux 8.4が公開されたことは、AlmaLinuxの開発の速さが立ち上げ時だけでなく現在も維持されていることを示していると思います。
加えて、CloudLinux社がAlmaLinuxの有償サポートを開始したことによりサポートを必要とするユーザに対しても利用していただける環境が整ってきています。
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【2021/7/8追記】----
6月末にARM64版のAlmaLinux 8.4も公開されました。
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AlmaLinuxのサードパーティー対応状況について

AlmaLinuxは最初のリリースが公開されたばかりのディストリビューションのためサードパーティーの対応はこれからとなります。

このため、AlmaLinuxでサードパーティー製のソフトウェアなどの利用を検討している場合はサードパーティーの対応を待って移行するかを決めることをお勧めします。

しかし、CentOSの代替候補としてAlmaLinuxの知名度は高いため、比較的早く各サードパーティーが対応していくのではないかと予想します。実際、対応を表明しているサードパーティーは現時点でもいくつか存在します。

例えば弊社の各サービスでも提供しているPleskについては、Plesk社の公式Blogにおいて今年夏での対応を表明しています。

【2021/4/22追記】----
 Plesk Obsidian 18.0.35からAlmaLinuxに対応しました。
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正式版が公開されたことですし、今後のサードパーティーの動きも加速するのではないかと考えます。


AlmaLinux
の入手とインストール方法について

AlmaLinuxのイメージファイルは公式サイトの「Download ISOs」からダウンロード可能です。

リンク先でAlmaLinuxのバージョンを選択するとミラーサイトの一覧が表示されるので、お好みのミラーからダウンロードしてください。

現在のバージョンは"8.3"となっており、RHEL8.3CentOS Linux 8.3に相当します。

【2021/5/31追記】----
5月末にRHEL8.4に相当するAlmaLinux 8.4も公開されました。
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AlmaLinux 8.3のイメージファイルに含まれるパッケージは、CentOS Linux 8.3のイメージファイルのものより一部新しくなっています。

これは単にCentOS Linux 8.3のイメージファイルの公開後にRHEL8.3CentOS Linux 8.3で行われた修正が含まれているだけのようですので、RHEL8CentOS Linux 8の環境でアップデートを行うとほぼ同じバージョンになります。

AlmaLinux 8のインストール手順はCentOS Linux 8と同じで、RHEL8CentOS Linux8のインストール経験があれば問題なくインストールできます。

開発途中のバージョンではCentOS Linux 8を比較すると標準でインストールされるパッケージの選択状況が異なっている問題がありましたが、AlmaLinux 8.3では修正されています。このためCentOS Linux 8と同じ設定でインストールすることが可能です。

インストールが終われば、CentOS Linux 8と同様に利用することができます。

同じRHELクローンなので、当然ではありますが、CentOS Linuxとの実用上の違いはありません。

また、各ツールはRHELで動作が確認されているバージョンが使われているため、特に不具合はなさそうです。

CentOS Linux 8からAlmaLinuxへの切り替えツールについて

CentOS LinuxなどからAlmaLinuxに切り替えるツールは、こちらで公開されています。利用方法などは、リンク先のREADMEを確認してください。

このツールは20213月末時点でCentOS Linux 8 / RHEL 8 / Oracle Linux 8からAlmaLinuxへの切り替えに対応しています。

今後の開発ロードマップではPleskなどのミドルウェアへの対応なども予定されています。

注意点として、切り替えツールは全ての環境で切り替えができることを保証するものではなく利用も自己責任となります。

このため、基本的には切り替えるのではなく新規に環境を構築することをお勧めします。

利用する場合は、環境を大きく変更するツールのため、事前に十分検証したあとバックアップを取ってからご利用ください。

特にサードパーティー製のソフトウェアをご利用の場合は、そのソフトウェアのサポート条件や切り替えだけで利用できるかなどを事前に確認する必要がありますのでご注意ください。

【2021/4/22追記】----
例えば弊社の各サービスでも提供しているPlaskはPlesk Obsidian 18.0.35からAlmaLinuxに対応していますが、CentOS Linux 8からの切り替えには現時点では対応していません。
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【2021/7/21追記】----
現在はPleskもCentOS Linux 8からの切り替えに対応しています。
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ツールの主な処理は、yum(dnf)のリポジトリを切り替え元のディストリビューションからAlmaLinuxに書き換えることでAlmaLinuxのパッケージ・更新を受けとれるようにするものです。 

またAlmaLinuxのパッケージをダウンロードしてパッケージの再インストールやアップグレードも行われます。

この時、再インストールやアップグレードされたパッケージのプロセスは再起動される場合があります。

また、このツールの実行後のOSの再起動は必須ではありませんが、カーネルなど一部のパッケージのバージョンが上がる場合は次回起動時に反映されます。

システムの切り替えには事前の検証などは必要ではありますが、終了を迎えるCentOS Linuxのユーザーが現在の環境をAlmaLinuxに切り替える手段があることは、AlmaLinuxを選択する理由の一つになるかと考えます。

AlmaLinuxの総評

AlmaLinuxは立ち上がったばかりのディストリビューションではありますが、RHELという安定した製品のクローンであることと、RHELのノウハウを持ったCloudLinux社の支援のため、最初のリリースの時点で大きな問題はなさそうです。まだ小さな問題はあるかもしれませんが、動きの速いディストリビューションのためバグの早期修正も期待できそうです。

既存のRHELクローンと比較すると、AlmaLinuxCentOS Linuxの有力な候補として話題に上ることも多く、よりCentOS Linuxに近い製品である点も強みになります。

あとは、コミュニティがいかに成長し継続的にメンテナンスされるかが肝となりますが、これについては今後の推移を見守っていきたいと思います。

最後に

CentOS Linuxの終了問題については、弊社もCentOS Linux代替ディストリビューションの準備を進めています。

【2021/10/13追記】----
既に以下のサービスでAlmaLinuxやRocky Linuxなどが利用可能です。
※Rocky Linuxは一部サービスのみ提供済み
・ALTUS byGMO
・クラウドVPS byGMO
・GMOクラウド 専用サーバー
・GMOクラウド Private
・WADAXおたすけクラウドサーバー
・WADAX専用サーバー

ALTUS byGMOではCentOS Stream及びOracle Linuxも利用可能です。
また、高性能なサーバー管理ツールPleskについても、多くのサービスにおいてAlmaLinuxで利用可能です。ぜひご活用ください。
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他の弊社サービスについても、なるべく早くお客さまに代替ディストリビューションを利用していただけるよう準備を進めていますので、今しばらくお待ちください。

なお、CentOS Linuxの代替としてどのディストリビューションが主流になるかの動向が見えてくるまでは、まだしばらく時間がかかると思います。特にもう一つの有力な代替候補のRocky Linuxが第2四半期に公開される見込みのため、主流が決まるのはその後になると思います。

CentOSをご利用中の皆さまには、2021年末までの移行を念頭に、今しばらくは情報収集や検討を行っていただくようお願いいたします。 

【2021/7/8追記】----
6月にRocky Linuxの正式版も公開され、CentOS Linuxの代替として有力視されているディストリビューションが出そろいました。
他のディストリビューションについてはこちらをご確認ください。

CentOS Linuxをご利用中の皆さまには、2021年末までの移行を念頭に検討や準備を行っていただくようお願いいたします。
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この記事を書いた人

藤永勝久

元開発者。サーバ、OS、クラウド基盤などの基盤系開発や研究開発などに広く携わっていました。

GMO グローバルサイン・HDに入社してからは研究開発やツール開発などに従事。
現在は弊社の各種クラウド・ホスティングサービスの新規サービスの企画を行っています。
新しいものを試すことに目がなく、新しいものを見つけたらまずは調べて実際に試しています。

最近は肥満解消のために自転車に乗っていますが、先は長いです。

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